澁谷工業:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
| ●澁谷工業 <6340> [東証P] レーティング:NEUTRAL(2025/3/11)→ NEUTRAL ◆ボトリングシステムで国内トップ。無菌技術に強み ◆食品や医薬品などの更新需要、メンテナンス需要で収益基盤安定 ◆足もとの受注低迷は懸念材料 |

◆会社概要…ボトリングシステムで国内トップ
ボトリングシステムで国内トップ。飲料用の無菌充填システムでは国内シェア80~90%とみられる。アジアや北米を中心に海外売上が拡大しており、海外売上高は約4割。
パッケージングプラント事業は食品や薬品・化粧品などの業界向けが中心、安定した需要があることや定期的なメンテナンスが必要なことが収益に寄与している。
◆業績
2025年6月期連結業績は増収増益。農業用設備事業とメカトロシステム事業が減益となったものの、パッケージングプラント事業で飲料用無菌充填ラインや注射薬バイアル充填ライン、化粧品充填ラインが好調だったことが業績拡大に寄与した(資料1参照)。売上高は1,290億円と過去最高となり、営業利益、経常利益、純利益はいずれも最高益更新だ。

他方、受注高は前の期に比べて9.6%減の1,203億円と5期ぶりの減少となった(資料2参照)。高水準で推移してきた飲料用無菌充填ラインの需要が一服したことが要因だ。米関税政策などで先行き不透明感が強まる中で、投資意欲が減退していることも需要減退につながった。とはいえ、期末の受注残高は931億円となお高水準にあることは当面の業績の支えとなる。

◆強み
強みは技術力、イノベーション創出力、きめ細やかなサポート体制だ。創業以来のボトリング技術をコアにM&Aを通じて技術を蓄積、培ったロボット制御技術や無菌技術、レーザ技術などによって事業領域を拡大してきた。主力のパッケージングプラント事業では無菌技術によって乳飲料や茶系飲料などの低酸性飲料の充填において優位にある。近年では、健康志向の高まりから低酸性飲料の需要が増加する北米での売上が拡大しているほか、中国や東南アジアの需要も伸びている(資料3参照)。海外市場を開拓すべく、前期はインドネシアに新会社を設立し、インドに営業拠点を開設した。

無菌技術は再生医療システムにつながっている。細胞培養アイソレータや自動培養装置、バイオ3Dプリンターなど豊富な品揃えが強みとなっている。
メカトロシステム事業ではニプロ <8086> [東証P]向けに人工透析装置のOEM生産を行っているほか、半導体製造装置も手掛けている。ニプロ向け売上高は拡大傾向にあり、前期には218億円とメカトロシステム事業の6割近くを占め、メカトロシステム事業拡大をけん引する。透析患者は北米や中国、インドを中心に増加傾向にあり、今後も拡大が期待される。また、半導体製造装置についてはデータセンター用AIを中心とした先端半導体で需要拡大が見込まれる。
◆業績予想と投資判断
業績は顧客の設備投資の動向によって変動しやすいものの、食品や医薬品、化粧品など安定した市場において需要を取り込めることは同社の強みで、更新需要やオーバーホールなどのメンテナンス需要も収益を支える。さらに「ダントツ」をキーワードにした製品開発、再生医療などの新事業、海外展開が中長期的な成長につながることも期待される。今期は他社製品の組み込み増加による原材料費率の上昇が利益を圧迫することで減益見通しだが、自動化、省人化が求められる中で業績は拡大傾向が続きそうだ。
中長期的な成長期待は高いものの、足元の受注状況は踊り場局面を示すものであるだけに、投資するには受注回復を待ちたいと考える。投資判断は「NEUTRAL」を継続する。

| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
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※今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
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