前田工繊:OUTPERFORM継続【今村証券アナリストレポート】
| ●前田工繊 <7821> [東証P] レーティング:OUTPERFORM(2025/3/6)→ OUTPERFORM ◆防災・減災対策用土木・建築資材と自動車ホイールが柱 ◆今期会社予想は減益だが、上振れが見込める ◆M&Aも積極活用 |

(注)22/6期より決算期を9月20日から6月末日に変更しており、22/6期、23/6期の伸び率は記載していない。2024年7月1日付で株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、22/6期~24/6期のEPS・1株配は22/9期期首に分割が行われたと仮定して算定。
◆防災・減災対策用土木・建築資材と自動車ホイールが柱
売上高、営業利益(全社費用除く)どちらも「ソーシャルインフラ事業」が6割弱、「インダストリーインフラ事業」が4割強の構成(前期(2025年6月期))。「ソーシャルインフラ事業」は、がけ崩れや地すべり、洪水といった自然災害から身を守る防災・減災対策用の資材(盛土補強材、排水材、河川護岸材、耐震補強材等)の製造・販売(公共工事関連)などを手掛ける。「インダストリーインフラ事業」の主力は、自動車用軽合金鍛造ホイール「BBS」ブランドの製造(BBS事業)であり、国内外の自動車メーカー向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給とカーショップなどアフター市場向けの販売を行う。
◆今期会社予想は減益だが、上振れが見込める
前期は売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてが過去最高となり、営業利益と純利益は中期経営計画の最終目標(2027年6月期:営業利益120億円、純利益80億円)を2年前倒しで達成した(資料1、出所:決算短信・決算説明資料)。公共工事関連、BBS事業ともに好調で、公共工事関連は盛土補強材や河川護岸材、獣害対策製品、沖縄防衛関連などの販売が増えた。BBS事業も販売が拡大し、退職給付に係る引当金や在庫評価損といった一過性費用の計上を補った。純利益は特別利益(負ののれん発生益11億4600万円)の計上も押し上げ要因になった。
(資料1) 業績の推移


(注)22.6期より決算期変更。
対して今期(2026年6月期)会社予想は減益だ。BBS事業が減益予想であり、OEM供給が端境期であること、トランプ関税が自動車販売に及ぼす影響が不透明なことを織り込んでいる。公共工事関連は買収効果により増益予想だが、既存事業は前期に大型案件があった反動が出るとの想定だ。ただ、自然災害が激甚化、頻発化するなか、防災・減災対策は急務になっている。人手不足の建設業者に対して、施工性に優れた製品、工法を組み合わせた提案をしている成果も出ているようで、既存事業は堅調な受注が続くだろう。今期業績は上振れが見込める。
◆M&Aも積極活用
M&Aを活用した成長にも積極的に取り組んでいる(資料2、出所:決算説明資料)。これまでも、原則「モノづくり」の会社、特別な技術・製品がある会社を買収した後、グループの販路活用、老朽化設備の更新などを通して成長を実現してきた(資料3、出所:決算説明資料)。
(資料2) 資金配分の見込みと進捗

(資料3) 売上高(M&A・従来事業)の推移

(注)22.6期より決算期変更。
今年4月に子会社化した三井化学産資(現、前田工繊産資)は売上高が過去最大規模の案件だ。これにより、売上高を年間約100億円押し上げる。一方で利益率が低く(2024年3月期:売上高営業利益率1.8%)、改善余地がある。経費の見直しのほか、両社の製品を両社の販売網で販売し、受注が増えた製品を稼働率が低い前田工繊産資の工場で生産して生産効率を高めるなどの対策を講じていく。
また今期以降も年間最低でも1件の買収に意欲を示す。
◆投資判断はOUTPERFORM継続
今村証券による今期業績予想は、前述した要因から会社予想を上回るとみて、売上高700億円(前期比+9.2%)、営業利益120億円(同▲0.2%)とする。来期(2027年6月期)は公共工事関連の堅調な受注継続、BBS事業の端境期終了を前提に、売上高750億円(今期今村証券予想比+7.1%)、営業利益132億円(同+10.0%)を予想し、新たな買収が実施されれば上積みが見込める。
株価は5月に付けた上場来高値(株式分割考慮後)2,159円から14%下げた水準にある。投資判断は「OUTPERFORM」を継続する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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※今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース