伊藤智洋が読む「2018年マーケット・シナリオ」 <新春特別企画>
2018年の日経平均株価の現時点で有力なシナリオは2通りです。以下、この2つのシナリオについてご説明します。
◆シナリオ(1):5月までに年間高値、最大2万4000円処
1つ目は、前半が2017年と似た展開になって、後半が下げるパターンです。
前半の似ている点は、1月にいったん価格が下げて、12月、1月の戻り高値付近が6月頃まで意識される動きになっているところです。
2017年は3月、6月に1月の高値を更新していますが、1月の高値付近まで上げるのが精いっぱいで、さらにその先を積極的に目指す動きにならず、上値を抑えられています。
こちらのシナリオになる場合、2018年は1月に価格が下げて、1月中、または2月に押し目底をつけて、再度上昇を開始すると考えられます。押し目底の目安は2017年11月16日の安値2万1972円前後(割れる動きになる場合、一時的に割れるだけですぐに値を戻す展開)が挙げられます。
今後の価格が2017年11月9日の高値2万3382円を越えるためには、2万1972円が強い支持になっていなければいけません。
2月頃に押し目をつける動きになっても、2万1972円を大きく割れてから上昇するなら、その後の上げが2万3382円を越える流れにならない可能性が大きくなります。
2月以降、上昇を開始した後、2万3382円を越えられる時期は、5月頃までだと考えられます。
2018年は(FRBによる利上げの影響から)NYダウ平均が弱気パターンの年になるという見方が有力です。だとすれば、NYダウは遅くても5月頃までに年間の最高値をつける動きになる公算です。
5月以降、NYダウが下降の流れへ入る中で、日経平均だけが上げ幅を拡大する展開は考えられません。
4月、5月につけられる高値の最大値は、2万4000円程度が挙げられます。その後、6月以降、10月頃までの期間で2万円、または1万8000円を目指す動きへ入ります。
◆シナリオ(2):年初から下落、3月・5月に2万円割れも
2つ目は、2016年に近い展開です。年初から値幅の大きな下げ場面を経過した後、徐々に上昇を開始する展開です。
2016年は2月12日までの下げで、一気に年間の最安値付近まで下げてしまいましたが、2018年の場合、3月、または5月以降に大きく下値を掘り下げると考えられます。
こちらの展開になるなら、1月の下げが値幅と日柄の伴った下げになることから、2017年11月9日以降がはっきりとした5つの波のパターンになると推測できます。その場合、最初の目立った押し目が底値になるのではなく、2017年11月16日から12月12日と同程度の値幅(1022円幅)の反発調を経過し、その後、再度下降を開始して、大きく下値を掘り下げてつけた安値が底値になると考えられます。
1000円幅以上の反発を経過するためには、1ヵ月程度か、それ以上の日柄を要するので、1月の下げを経過した後、すぐに上がり、すぐに下げて底値をつけるという流れにならないはずです。
こちらの展開になるなら、最初の押し目は2万1000円以下でつけると考えられます。そして、3月、または5月以降につける底値は、2万円以下になることが想定されます。
どちらのシナリオでも、1月に2万1972円を試す動きになるという見方になります。そのような動きになるなら、前述のどちらかの展開になることを頭に入れておいて下さい。 【2017年12月28日 記】
【伊藤智洋 プロフィール】
1996年に投資情報サービス設立。メールマガジン、株価、商品、為替の市況をネット上で配信中。「株の値動きは4回のうち3回当てられる」(KADOKAWA)など著書多数。
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株探ニュース