国内株式市場見通し:過熱感を警戒しつつも一段の上昇を見込む
2018年相場は好スタートとなった。大発会の日経平均は、700円を超える大幅上昇となり、昨年11月9日ザラバ高値23382.15円を突破し、1992年1月以来の23500円を回復した。4日の米国市場ではNYダウが初の25000ドルに乗せるなか、この流れを受けた5日の日経平均は大幅続伸で23700円台を回復するなど、連日でバブル崩壊後の高値を更新した。
日本が休場中の海外市場の上昇や原油高等が刺激材料となり、日経平均は一気にもち合いレンジを上放れている。インデックスに絡んだ商いが中心であるため、今後の米国市場の動向次第では大きく値を消すリスクは警戒されそうだが、良好な需給状況のなかではショートポジションは禁物だろう。また、北朝鮮情勢についても、少なからず平昌五輪が終わるまでは、ミサイル発射といった動きはなさそうであり、リスク選好の地合いが続きそうである。
5日の米雇用統計が注目されるが、非農業部門就業者数は前月比14万8000人増加。失業率は変わらずの4.1%だった。市場予想(19万人)を下回ったが、失業率が低水準を維持しているほか、民間部門の平均時給の前年同月比伸び率が2.5%と改善傾向が続いていることが評価されている。5日のNYダウは200ドルを超える上昇となり年初からの上げ幅は570ドルを超えている。米国では昨年末の節税対策の売りが通過する一方で、1月効果と呼ばれるアノマリーがあり、株価上昇率が統計的に高いことが知られている。年末の損失確定の反動に加えて、相対的に国内企業の割合が多い小型株は税制改革による恩恵を受けることが予想される。昨年末には利益確定の流れが強まっていたアマゾンやアップルといったFANG株への資金流入が再燃しており、この流れからファナックやソニー、ソフトバンクG、TDKなど主力大型株には海外勢の資金流入が意識される。また、米国では今後決算シーズンを迎えることもあり、業績上振れ期待なども支援材料になる可能性がありそうだ。
一方で米国市場同様、日経平均についても短期的には過熱警戒感が意識されるものの、インデックスに絡んだ商いによるものであり、日経平均の上昇ほど、個人投資家は積極的に買い上がったとは考えづらい面はある。楽観的というよりは過熱感を警戒している状況だろう。それ故に需給は大きく買いに傾きづらく、反対にショートポジションが積み上がりやすいところであろう。そのため、過熱感を警戒しつつも一段の上昇が見込めそうだ。今週のオプションSQ(特別清算指数算出)を前に、ショートカバーが強まる展開も意識しておきたい。
日経平均は1992年の高値23800円処まであと70円程度に迫ってきている。これをクリアしてくると、次のターゲットは1991年以来の25000円が意識されてくることになろう。また、物色についてもテーマ株が循環的に買われているが、こちらも上値追いというよりは、調整一巡感のある銘柄や出遅れ感のある銘柄等に向かいやすい。先行して上昇していた銘柄への利益確定を進めつつ、出遅れ銘柄を見直すことにより、市場全体の底上げといった流れが期待されそうだ。
経済スケジュールでは、10日に米輸入物価指数(12月)、米卸売在庫(11月)、11日に都心オフィス空室率(12月)、景気動向指数(11月)、米生産者物価指数(12月)、米財政収支(12月)、ユーロ圏鉱工業生産(11月)、12日に米消費者物価指数(12月)、米小売売上高(12月)、中国貿易収支(12月)等が予定されている。また、イベントしては国際家電見本市「CES」(ラスベガス、9日から12日まで)が予定されているほか、10日に独メルセデスの新モデル発表会、11日に独アウディの新年会見、また、東京オートサロンが幕張メッセで12日から14日まで開催される。IoTやAI(人工知能)、自動運転、EV、次世代電池といった関連銘柄への手掛かり材料になりそうだ。その他、年初から仮想通貨関連への物色が強まっており、関連銘柄への関心も引き続き高まることになりそうだ。
《FA》
提供:フィスコ