新興市場見通し:マザーズ指数は一時1300pt回復、なお中小型株優位の地合いに

市況
2018年1月13日 15時00分

先週の新興市場では、日経平均が一時節目の24000円に迫るも円相場の強含みで上げ一服となり、中小型株への資金流入が強まった。マザーズ指数はバイオ株などがけん引役となり、1月11日には06年9月以来となる1300pt台を回復する場面があった。ただ、その後は短期的な達成感などから上げ一服となった。日経ジャスダック平均は12日まで7日続伸し、90年7月に付けた算出来高値(4149.20円)に迫った。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.3%であったのに対して、マザーズ指数は+3.6%、日経ジャスダック平均は+2.9%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で1.1%安、サイバーダイン<7779>が同6.9%安と軟調だったが、バイオ株ではそーせいグループ<4565>が同9.0%高、サンバイオ<4592>が同7.5%高となり、人工知能(AI)関連のPKSHA Technology<3993>は同12.7%高となった。売買代金上位では、ブロックチェーン関連として人気化したバーチャレクス・HD<6193>やバイオ株のナノキャリア<4571>などが大きく買われた。また、旅工房<6548>やデータホライゾン<3628>が週間のマザーズ上昇率上位となった。反面、直近IPO銘柄の一家ダイニングプロジェクト<9266>が利益確定売りに押され下落率トップだった。業績下方修正のエディア<3935>も売られた。ジャスダック主力では、12月既存店売上高が前年比横ばいだったセリア<2782>が同8.7%安となったが、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同4.1%高、エン・ジャパン<4849>が同4.9%高と堅調だった。ハーモニックは第3四半期も受注好調が続いた。売買代金上位では、動物薬について導出先が欧州で承認を取得したラクオリア創薬<4579>や、中国子会社の上場期待が続くレカム<3323>などが大きく上昇した。カジノ関連とされるフジタコーポレーション<3370>の株価は前週末比2倍超となった。一方、野村マイクロ・サイエンス<6254>やアイケイ<2722>が週間のジャスダック下落率上位だった。

今週の新興市場は、個人投資家のマインドや需給状況が良好であることを背景に、引き続き堅調に推移しそうだ。為替の円高基調に加え、決算発表シーズンが迫っていることもあり、日経平均はもち合いが続きそうだ。値幅取り狙いの物色は引き続き中小型株に向かうとみられる。個人投資家のリスク選好姿勢が強まっており、バイオ株や材料性・テーマ性の強い銘柄には思惑買いが入りやすい。

今週は、1月15日にティーケーピー<3479>、ウォンテッドリー<3991>、マネーフォワード<3994>、サインポスト<3996>、メタップス<6172>、ポエック<9264>などが決算発表を予定している。直近IPO銘柄であるサインポストやポエックは上場後初の決算発表となる。ティーケーピーなど成長期待の高い企業も散見され、業績動向が注目される。また、米国では14日から「デトロイトモーターショー」、国内では17日から「オートモーティブ ワールド」「スマート工場 EXPO」「ウェアラブル EXPO」といったイベントが開催されるため、自動運転やAI、IoT(モノのインターネット)などの関連銘柄の動向も注視したい。

IPO関連では、現時点で2月8日上場の世紀<6234>に続く案件は発表されていない。ただ、2月も数社のIPOがあるとみられることから、上場承認の発表に注目しておきたい。

《FA》

提供:フィスコ

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