大谷正之氏【実質2月相場入り、相場の景色はこう変わる】(2) <相場観特集>
―強弱感対立、楽観ムード後退も下値では買い意欲旺盛―
早いもので2018年相場も実質2月相場入りとなった。週明け29日の東京株式市場は朝高後に値を消す展開。為替市場の円高を横にらみに引き続き神経質な相場環境ながら、リスクを取る動きが再燃し値上がり銘柄数も1100を超えた。ひと頃と比べ楽観ムードは後退しているものの、押し目形成場面では出遅れていた向きの買いが入る状況にあり、先行きについては人によって見方の分かれるところ。そこで、先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人に2月相場の読み筋を聞いた。
●「全般は値固め基調も個別銘柄物色は活発化」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
2月前半の東京株式市場は、本格化している4-12月期決算発表の内容を評価しながらの個別銘柄物色の色彩が強まりそうだ。一方、日本に比べて日程面でやや先行している米企業の決算発表が一巡することで、手掛かり材料難からNYダウ平均株価が調整含みとなる懸念もある。これが東京株式市場に影響することを想定すると、全体相場は値固め基調となりそうだ。
国内企業の決算発表が一巡する2月後半からは、決算内容への評価や、各企業の決算説明会での発表内容に対するアナリストの分析などによる来期(19年3月期)業績見通しへの期待感から、全体相場はジリ高歩調となりそうだ。海外投資家は、日本株に対して依然として出遅れ感を持っており、買い姿勢は継続しそうだ。また、米国の法人減税や、今後本格化するインフラ投資拡大も日本企業にとってメリットとなりそうだ。2月の日経平均株価のレンジはそれぞれ下値2万3000円、上値2万4800円程度と予想する。
物色動向は、来期に向けても需要拡大の見込める半導体関連の銘柄や、設備投資関連の工作機械株などに注目している。さらに、政府も積極的な姿勢で臨んでいる賃上げが、ある程度の浸透することで、個人消費の拡大も想定される。これにより、小売りやサービスなど消費関連銘柄も見逃せない。
個別銘柄では、関西私鉄グループの阪急阪神ホールディングス <9042> に注目したい。基幹事業の鉄道事業や不動産事業が堅調なうえに、旅行事業で欧州方面の集客が増加し、スポーツ事業(甲子園)やステージ事業(宝塚歌劇)も好調な推移となっている。また、関西地区の訪日外国人客が増加傾向にあるうえに、2025年の万博招致活動(11月に開催予定地決定)が活発化するものとみられ、関西圏への注目度が高まりそうだ。
設備投資関連で注目なのが、金属加工機械で国内大手のアマダホールディングス <6113> だ。主力の板金加工機が北米や欧州などで想定以上の伸びをみせているのをはじめ、溶接機や金属工作機械も海外中心に拡大基調にある。一方、働き方改革の推進で、ビジネスチャンスの拡大が見込めるのが公認会計士、弁護士や一般事業会社の管理部門に特化した人材紹介を手掛け、昨年12月15日に東証1部指定となったMS-Japan <6539> だ。今後は、IPO(新規上場)を目指す企業への支援事業も積極化していく。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース