有賀泰夫の有望株リサーチ

市況
2018年1月30日 13時30分

●クスリアオキ <3549>

―既存店好調企業の代表格!―

思いもよらぬ円高によって、年初の外需株・大型株、成長株にけん引された相場は大きく方向性を変えてきた。ただし、そのことを根本的な変化とは考えない方がいいだろう。これはこのコラムで繰り返し述べてきたように、今の相場の根幹は好需給であり、循環相場であるということで、その都度テーマは移り変わりながらも全体相場が底上げするものだからである。

常にポートフォリオバランスを考えながら投資するのがいいだろう。そんな中で改めて内需株を眺めてみると、業界環境が良好なドラッグストア に狙える株が目につく。ドラッグストアは一見すべて同じように見えるが、実は業態も異なり、その結果、業績特性も異なる。直近出てきた決算を見ても、二ケタ増益の会社もあれば、二ケタ減益の会社もある。

その中で、コスモス薬品 <3349> の二ケタ減益、及び通期業績の減額修正によって、同社株が1日で20%近く下落し、その他のドラッグストアの株価もつれ安させた。しかし、コスモス薬品はドラッグストアの中ではかなり特殊で、むしろ食品ディスカウンターという位置づけの会社である。

これまでも我が国ではディスカウンターが出ては消えている。ディスカウンターには価格に引き付けられる消費者が来店するが、それらの消費者はさらに安い店舗が現れるとそちらに行ってしまう顧客である。ディスカウントはモデルがシンプルであるため、成長スピードは速いがどこかで天井を付けると、急速に勢いを失う会社が多い。コスモス薬品は数年前までドラッグストアカテゴリーでは最も成長スピードが速かったが、実はこの数年は減速傾向が顕著であった。そして、いよいよそのことに市場が気づいたに過ぎない。よって、コスモス薬品の急落につれ安したドラッグストアの中には面白い株が目白押しである。

その中で今回はクスリのアオキホールディングス <3549> に注目したい。同社は好調なドラッグストア業界の中でも既存店好調企業の代表格であり、直近3ヵ月の既存店伸び率は4.5%に達している。

ただし、上期の業績は前年同期比の出店数増で微増益にとどまったことから、バリュエーションが低水準である。下期は出店数が減少することから二ケタの増益に回帰しよう。よって、現時点で低水準にあるバリュエーションはやがて他の好調企業並みに上昇することが見込まれる。

(1月29日 記)

有賀泰夫(ありがやすお)

H&Lリサーチ代表。新日本証券(現みずほ証券)に入社後、アナリストとしてクレディ・リヨネ証券に転職。現三菱UFJモルガンスタンレー証券を経て、09年4月に独立して、H&Lリサーチを設立。ファンド向けアドバイスなどを行う。日本証券アナリスト協会検定会員。

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