【植木靖男の相場展望】 ─ 新たな錦の御旗はなにか
「新たな錦の御旗はなにか」
●再上昇へ残された唯一の選択肢
東京株式市場で日経平均株価は、1月23日の2万4124円高値から僅か10日ほどで3000円も暴落する惨状となった。これまで騰げピッチが早かったから、という言い訳も虚しい。
急激な円高、米国金利の想定外の上昇を起因とした米国株の暴落、そして海外勢の大幅売り越しなどが背景と指摘されている。
結果として何が起きたのか。市場環境は何も変わっていない、という声もあるが、果たしてそうなのか。
何よりも、これまでの株高の大義は“適温相場”であった。これを錦の御旗として掲げ、投資家は買い進んできた。だが、この大義は金利上昇で崩壊した。低金利で、かつ景気拡大という、いいとこ取りは永続きはしない。昔から“ふたつよいこと、さてないものよ”と謡われてきたはずだ。
では、ここでの懸念材料をどうみるのか。
久しくカイ離していた円と株価の連動性が復活しつつあると言われる。この円高というよりドル安について、ICEドルインデックスをみる限り、罫線上は底入れしたかにみえる。だとすれば、108円処はドル下値の限界に近いのではないか。
次に米株暴落の確信犯ともいうべき長期金利。16年の歴史的な大転換を考えると、一時的に収まることはあっても、基調は上昇に向かうと覚悟すべきであろう。
仮に今後、再び株価の上昇局面を想定するとすれば、皆が納得する新たな大義、すなわち新たな錦の御旗が必要となろう。その選択肢はひとつしかない。ズバリ「業績相場」である。これまでは金融・業績混在相場の色合いが濃かったが、これからは純然たる業績相場一本となるしかない。
●底入れ局面入りか、主役交代も
ところで、目先的な市場をどうみるか。2月第2週の2日間連続高、そして記録的な45%というカラ売り比率、さらに200日移動平均線への接近という事象を考慮すると、いよいよ底入れ局面に入りつつあるといえるのではないだろうか。
ちなみに、13年5月の暴落局面では、高値から16日目に底値をつけている。今回に当てはめると2月第3週の14日頃となるが、果たしてどうか。
さて、今後の物色対象をどうみるか。条件としては、市場環境が大きく変わることになるわけだから、少なくとも次のような条件を考慮すべきであろう。
底入れ後、当座こそは深押ししたハイテク株が一時反動高をみせるが、その後は低PERで、これまでの上昇相場に乗れなかった業種、銘柄が脚光を浴びるとみたい。
2018年2月9日 記
株探ニュース