円高リスク少ない内需株、10-12月期“好調継続"リスト〔第1弾〕 <成長株特集>
外国為替市場で急速に円高が進んでいる。ドル・円相場は15日に1ドル=106円台前半と2016年11月以来、約1年3ヵ月ぶりの水準まで上昇した。主要企業は想定為替レートを1ドル=110円に設定している企業が多く、輸出関連銘柄への業績悪化懸念が強まっている。そこで本特集では、円高リスクを受けにくい“内需関連株”にスポットライトを当ててみた。今回は3月決算企業を対象に、ほぼ出そろった10-12月期(第3四半期)決算で好業績が続いた企業を追った。
下表では、時価総額300億円以上2000億円未満の情報通信、サービス、建設、小売、不動産といった内需関連の中から、直近3ヵ月である10-12月期(第3四半期)に売上高と経常利益がともに連続で前年同期を上回った銘柄をピックアップ。さらに、10-12月期の経常利益が前年同期比で20%以上増益だった44社を選び出し、増益率の高い順に並べた。表には四半期ベースの「増収増益連続期数」、4-12月期経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。
増益率トップのリミックスポイント <3825> [東証2]はビットコイン価格の急騰を背景に、子会社が運営する仮想通貨取引所で手数料収入が拡大し、10-12月期(第3四半期)の連結経常利益は前年同期(非連結)の500万円から6億2900万円に急拡大して着地。業績好調に伴い、通期の同利益を従来予想の7億5000万円→31億3900万円に4.2倍も上方修正し、従来の2期ぶりの過去最高益予想をさらに上乗せした。
2位に入ったのは通信ネットワーク構築大手のネットワンシステムズ <7518> 。10-12月期は自治体や企業向けにセキュリティ対策、クラウド基盤案件などの売上が大きく伸び、7四半期連続の増収増益を達成した。3位の東急建設 <1720> は渋谷再開発をはじめとする潤沢な受注残高を背景に建設工事の完成工事高が増加したうえ、工事採算の改善も利益を押し上げた。投資指標面では予想PER8.2倍と割安感が強く、相場が反転した際には水準訂正の買いが期待される。
続く4位の棚卸し代行で国内首位のエイジス <4659> [JQ]は新規出店・店舗改装時の陳列業務や商品補充業務の受注が拡大したリテイルサポートサービスが収益を牽引した。また、岡山地盤のゼネコン中堅で5位の大本組 <1793> [JQ]は手持ち工事が順調に進み、10-12月期は前年同期比2.2倍の大幅増益を達成した。4-12月期経常利益の通期計画に対する進捗率は95.3%に達しており、業績上振れが確実視される。14日に発表した配当増額と自社株買いの実施も評価材料となり、株価は昨年来高値圏で推移している。
選出リストの上位には、情報・通信業が多く入った。10位のコムチュア <3844> はクラウドやビッグデータ、AI関連などのソリューションサービスの受注が拡大したうえ、高付加価値化戦略が進んだことで採算も向上した。11位のシステナ <2317> は車載関連やインフラ関連を中心とするソフト開発の受注好調などで、10-12月期の経常利益は全四半期ベースの過去最高益を2四半期連続で更新した。
そのほか、人手不足の長期化や働き方改革の進展が追い風となっている人材サービス関連も目立つ。人材派遣を手掛けるUTグループ <2146> [JQ]、WDBホールディングス <2475> 、ウィルグループ <6089> 、メイテック <9744> 、コールセンター受託大手のりらいあコミュニケーションズ <4708> 、人材紹介を展開するクイック <4318> 、求人サイトを運営するじげん <3679> [東証M]がリストアップされている。
※18日(日)19時30分に「時価総額が300億円未満の銘柄を対象とする【第2弾】」を配信する予定です。ご期待ください。
┌ 経常利益 ┐ ┌ 売上高 ┐ 増収増益 対通期 予想
コード 銘柄名 増益率 10-12月 増収率 10-12月 連続期数 進捗率 PER
<3825> リミックス 12480 629 127 2982 3 29.9 23.7
<7518> ネットワン 237 1606 14.6 36679 7 55.2 27.1
<1720> 東急建設 178 8231 81.9 83138 2 76.4 8.2
<4659> エイジス 168 268 10.3 5953 2 56.7 13.2
<1793> 大本組 123 539 36.9 24037 3 95.3 9.2
<3932> アカツキ 107 2839 78.6 5754 7 - -
<8281> ゼビオHD 92.0 3509 7.8 59825 4 120 29.8
<2681> ゲオHD 89.3 5738 13.4 85083 3 101 13.5
<1805> 飛島建 85.8 2941 8.4 33402 2 90.3 7.7
<3844> コムチュア 81.2 607 12.5 4273 5 82.7 41.4
<2317> システナ 74.2 1538 18.4 13761 3 83.9 35.4
<1417> ミライトHD 72.8 4554 14.8 74311 5 74.3 15.5
<3963> シンクロ 69.6 156 38.7 344 3 91.9 132.8
<3341> 日本調剤 65.8 3353 9.8 62101 3 81.5 9.7
<2146> UT 61.1 1361 45.2 21792 8 72.0 37.1
<1852> 浅沼組 55.5 2618 8.5 38510 2 83.9 7.7
<2398> ツクイ 54.1 1313 12.1 20954 3 79.7 21.4
<4708> りらいあ 48.7 1606 17.6 27622 2 64.4 26.0
<2475> WDB 44.3 1222 20.7 9911 8 88.9 25.9
<6089> ウィルG 43.7 776 32.7 20466 6 92.2 30.2
<1979> 大気社 43.6 3332 27.6 61139 2 56.2 17.7
<3221> ヨシックス 41.2 487 24.2 4113 9 79.5 33.3
<3774> IIJ 40.1 1860 13.0 44624 3 66.6 25.2
<4318> クイック 40.0 238 19.2 3813 3 88.1 22.0
<6027> 弁護士COM 40.0 140 42.4 601 9 80.0 126
<3465> ケイアイ不 38.9 1161 30.1 15129 2 66.4 11.0
<9790> 福井コン 38.9 903 18.8 2700 7 89.2 25.9
<3923> ラクス 37.6 410 30.8 1633 5 74.4 80.3
<3679> じげん 33.5 809 42.4 2477 4 128 59.3
<3034> クオール 32.5 2901 4.1 37074 5 78.2 17.3
<7419> ノジマ 32.4 5560 17.5 134136 3 77.4 11.5
<1949> 住友電設 31.6 2487 11.2 35889 4 85.6 13.2
<9728> 日本管財 31.6 2047 8.2 25381 2 76.8 16.1
<2730> エディオン 30.0 4135 2.3 180803 2 74.3 12.4
<8803> 平和不 27.3 2211 35.2 10018 4 89.5 15.3
<4820> EMシステム 27.2 960 7.6 3575 11 86.9 19.4
<1799> 第一建設 26.4 2026 5.0 14501 3 86.0 10.2
<8920> 東祥 24.3 1890 14.4 6186 2 76.5 33.8
<1871> PS三菱 23.9 2809 11.2 32747 5 113 11.2
<9856> ケーユーHD 22.9 1641 9.7 22132 6 95.9 10.2
<1821> 三井住友建設 22.6 7550 6.4 98354 4 88.6 5.6
<9744> メイテック 22.4 3772 6.7 24220 3 84.6 22.4
<4345> CTS 20.4 437 13.6 2203 6 77.1 32.4
<9739> NSW 20.4 649 7.6 7435 5 82.0 22.8
※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。
※「-」は今期業績予想を非開示の企業。
※連続期数は前年同期と会社基準が異なる場合は算出対象外とした。
株探ニュース