来週の相場で注目すべき3つのポイント:金融正常化、パウエルFRB議長証言、イタリア総選挙

市況
2018年2月24日 20時31分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限22200-下限21600円

来週は金融正常化に向けた動きが期待される。日経平均は22000円での戻り待ちの売り圧力が意識されるほか、先週は心理的な支持線であった5日線を割り込んでおり、センチメントはやや悪化している。週末23日の米国市場では、セントルイス連銀総裁が年4回の利上げに懐疑的な見方を示したことを受けて債券利回りが低下、これを材料視する格好からNYダウは347ドル高となり、シカゴ日経225先物清算値は22000円を回復している。そのため、週明けの日本株市場は買い先行の展開になりそうだ。

ただし、今週は米国で経済指標の発表が多く予定されており、引き続き結果を受けた長期金利の動向に敏感に反応することになりそうだ。とはいえ、足元では長期金利の上昇局面に対してVIX指数は落ち着きをみせており、2月前半のような波乱相場にはならないだろう。長期金利の上昇に反応する形で金融株の上昇もみられており、金融正常化に向けた動きが期待されるところである。

また、27日にイエレン前FRB議長とバーナンキ元FRB議長の会談が予定されているほか、28日にはパウエルFRB議長が下院金融委員会で半期に一度の証言を行う。金利上昇につながる可能性もあるが、引き続きVIX指数の落ち着きがみられるようだと、市場は利上げを織り込み、プラス面を手掛かりとした物色に向かわせよう。なお、25日に平昌五輪が閉幕した。米ホワイトハウスはトランプ大統領の長女、イバンカ大統領補佐官を派遣すると発表(24日時点)。米韓同盟アピール狙いとの見方であるが、一方で米韓が五輪後に軍事演習を実施すれば、北朝鮮は「静観」しないと威嚇している。北朝鮮の地政学リスクが再燃する可能性もあり、強弱感が対立しそうである。

その他、NYダウは大きく上昇したものの、25日線が抵抗として意識されている。東京市場においても、米国株上昇の追い風がなければ、出来高が膨れず、薄商いの中を先物主導によるインデックス売買に振らされやすい需給状況が続く可能性は高い。売り越し基調が続いている海外勢の動向に変化がみられるまで、結果的には神経質な相場展開になりやすいだろう。そのため、物色についても、インデックス連動性の強い値がさ株などより、売り込まれていた好業績の中小型株などの見直しに関心を高めるほうが有効であろう。3月に入るとIPOラッシュともなるため、より中小型株への物色に傾くことになりそうだ。

なお、経済イベントでは27日に1月の米耐久財受注、28日に1月の鉱工業生産指数、2月の中国製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)、10-12月の米実質国内総生産(GDP 改定値)が発表される。3月1日に10-12月期の法人企業統計調査2月の米ISM製造業景況指数が発表される。また、4日にイタリア総選挙が実施される。選挙後の議会は絶対多数政党不在であり、政治的混乱が続く可能性が指摘されている。欧州不安再燃への警戒も意識しておく必要がありそうだ。

■為替市場見通し

来週のドル・円はもみ合いが見込まれる。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関する当面の方針を見極める展開となりそうだ。就任間もないパウエルFRB議長は27日に開かれる議会証言で、経済の現状認識やそれに基づく金融政策などについての見解を述べるとみられている。イエレン前議長時代の方針(漸進的な利上げ)を基本的に維持するものの、利上げペース加速の可能性について言及した場合、ドル買いが活発となりそうだ。

ただ、市場関係者の間では新体制の金融政策はハト派寄りとの見方も出ており、追加利上げに慎重であることが確認された場合はドル売りが強まりそうだ。また、トランプ政権による大規模な減税や国防費の増加などによって米財政赤字は大幅に拡大するとの懸念が強まっている。財政赤字拡大はドルに対する信認低下につながるおそれがあることから、ドル売り材料になるとの見方が多い。

■来週の注目スケジュール

2月26日(月):米新築住宅販売件数、メルケル首相率いるCDUが連立協定を採決など

2月27日(火):独消費者物価指数速報値、米耐久財受注、米消費者信頼感指数など

2月28日(水):鉱工業生産指数、中製造業PMI、ユーロ圏消費者物価コア指数など

3月 1日(木):法人企業統計調査、中財新製造業PMI、米個人所得など

3月 2日(金):有効求人倍率、米ミシガン大学消費者マインド指数確定値など

3月 4日(日):イタリア総選挙など

《TM》

提供:フィスコ

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