【植木靖男の相場展望】 ─ 底値鍛錬から上昇相場へ回帰か
「底値鍛錬から上昇相場へ回帰か」
●天女から魔女へと転じた“好材料”
株価は年初から日が浅いうちに想定外の惨状をみせた。
その背景は、天女のような好材料が、同じ材料であるにもかかわらず一転して魔女へと変じたことだ。不思議といえば不思議だ。
市場はトランプ大統領の大幅減税、インフラ投資が長期に景気を拡大させるという陶酔感に浸っていたが、突如それが悪材料に変じたのだ。
いわゆる双子の赤字への懸念だ。だが、これはあまりに見え透いている。誰かが大仕掛けに舞台を暗転させたとしか思えないからだ。これは魔法でも何でもないが、陶酔感の中にいる市場はこのことに気づかず骨抜きにされてしまった。
加えて、これまでの低金利、景気回復という適温経済、相場は金利の上昇で破綻してしまった。
これからは株価が新たな上昇をみせるには、適温相場という体幹に替わる、金利上昇を受け入れたうえで、新たな体幹、テーマを構築することが必要になる。
さて、当面の株価をどう読むか、日々大荒れだけに日々の動きを精査したい。
2月23日の値動きはきわめて先を読むうえで重要であった。
仮に下落すれば、当面下値模索となろうし、上昇すれば、週明け26~27日あたりの値動き次第では戻り相場続行を示唆することになる。
それだけに、日中、エレベーターのような乱高下をみせている。
●個人、主役の座に返り咲くか
ところで、今回の一連の流れは13年5月の急落場面を彷彿とさせるものがある。当時と同じ日柄で安値をつけたのは驚きである。
今後も同じような展開をみせるとすれば、3月上旬頃まで底値鍛錬をみせたうえで上昇軌道に乗ろう。
当時と大きく相違するのは需給である。当時は下げる過程で、海外勢が買い方に回り、もっぱら売りに回ったのが個人投資家であった。だが、今回は真逆である。個人・公的資金が買い方に、海外勢が売り方に回っている。
いうまでもなく、これまでは市場の主役は海外勢というのが常識、だが、今後はひょっとして個人が主役の座を海外勢から取り戻すという、これは妄想であろうか。巨大なインフレ相場が徐々に醸成されていくとすれば、個人金融資産の預貯金900兆円が移動を始めることもあり得るからだ。目を離せない。
さて、やがて新しい上昇相場が展開されるとすれば、牽引するのはどのような業種になるのか。いまはまだ底値もみの段階であり主柱は定まっていないのは当然であるが、これまで市場の脚光を浴びていなかった金融、商社、それに鉄鋼などの素材株、それに気になるのは三菱重工業 <7011> 、IHI <7013> 、川崎重工業 <7012> など大型株だ。注目したい。
2018年2月23日 記
株探ニュース