前場に注目すべき3つのポイント~欧米市場の落ち着きも国内政治リスクが重石に
12日前場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
■株式見通し:欧米市場の落ち着きも国内政治リスクが重石に
■決算チェック:鳥貴族の17年8月-18年1月期営業利益は51.0%増、従来予想達成で懸念後退も
■前場の注目材料:トヨタ自<7203>タクシー需要、AI予測、来年度商用化目指す、KDDIなど4社
■欧米市場の落ち着きも国内政治リスクが重石に
12日の日本株市場は、買い先行で始まった後は、こう着感の強い相場展開になりそうだ。2月の米雇用統計は、賃金増が抑制されながらも経済が好調を維持したことが示され、利上げペースを加速させるとの懸念が和らいだことが好感され、週末のNYダウは440ドル高となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比345円高となり、週明けの日本株市場もこの流れを引き継ぐ格好から、買い先行の展開が期待される。
また、トランプ米大統領による関税計画の影響は見極めが必要だが、カナダとメキシコに加え、オーストラリアも適用除外とする考えを明らかにした。強くて軽い高品質の鉄鋼製品など、課税すると米製造業にとってマイナスとなる特殊な製品についても除外する方針と伝えられており、過度な警戒感は後退しそうである。そのため、米雇用統計が通過しVIX指数も低位安定のなか、市場は落ち着きをみせてくるだろう。地政学リスクについても、5月までは小康状態といったところである。
一方で、森友学園への国有地売却をめぐり、国内政治不安が高まる状況には注意が必要であろう。その他、破産した仮想通貨交換業者、マウントゴックスの破産財団は2000億円相当の仮想通貨を管理しており、これを放出すると報じられている。本来は関係ないであろうが、個人主体の売買が大きい仮想通貨の影響が株式市場に波及してくる可能性にも警戒したい。
(株式部長・アナリスト 村瀬智一)
■鳥貴族の17年8月-18年1月期営業利益は51.0%増、従来予想達成で懸念後退も
焼き鳥チェーンを展開する鳥貴族<3193>の17年8月-18年1月期(第2四半期累計)営業利益は前年同期比51.0%増の8.91億円となり、おおむね従来予想(8.87億円)水準で着地した。売上高は同18.5%増の165.09億円だった。関東圏及び東海圏を中心に43店舗の新規出店を行い、当第2四半期末時点の「鳥貴族」の店舗数は607店舗(前期末比40店舗純増)、同社の直営店については374店舗(同32店舗純増)となった。関東地方における記録的な長雨や台風の上陸、1月の関東地方の豪雪といった天候要因に加え、価格改定等の影響もあり、既存店売上高は前年同期比で微減となったが、新規出店による店舗数の増加が奏功した。18年7月期の通期業績については、営業利益で前期比62.2%増の23.63億円とする従来予想を据え置いている。17年8月-10月期(第1四半期)を2.0%営業減益で通過していたこと、このところ既存店売上高の落ち込みが大きかったことなどから、業績下振れ懸念が強まっていた。株価も軟調推移となっていたが、今回、従来予想並みの大幅増益を確保したことでいったんは業績懸念が後退しそうだ。
■前場の注目材料
・米2月雇用、31万人増と予想上回る
・トランプ氏、保護主義貿易の姿勢を緩和
・NYダウは上昇(25335.74、+440.53)
・ナスダックは上昇(7560.81、+132.86)
・SOX指数は上昇(1431.16、+29.11)
・NY原油は上昇、(62.04、+1.92)
・シカゴ日経225先物6月限(21695、+345)
・日銀、大規模な金融緩和を維持
・日経平均は上昇(21469.20、+101.13)
・マザーズは上昇(1209.68、+3.44)
・トヨタ自<7203>タクシー需要、AI予測、来年度商用化目指す、KDDI<9433>など4社
・三菱電<6503>放電加工機販売1割増、来年度、新設備で生産性向上
☆前場のイベントスケジュール
<国内>
・10:10 国債買い入れオペ(残存期間5年超10年以下と10年超)(日本銀行)
<海外>
・特になし
《HT》
提供:フィスコ