為替週間見通し:ドルは伸び悩みか、米中貿易摩擦が相場圧迫の可能性

通貨
2018年3月17日 15時06分

■ドル・円は弱含み、米中貿易摩擦への警戒感高まる

先週のドル・円は弱含み。米国の政治不安や貿易・通商分野における米中関係の悪化を受けてリスク回避的な円買いが優勢となった。トランプ米大統領は13日、ティラーソン国務長官の解任と後任としてポンペイオ中央情報局(CIA)長官を指名することを発表したことから、政局不安が強まり、ドル売りやリスク回避の円買いが優勢となった。ドル・円は一時107円29銭まで買われていたが、トランプ政権の先行き不安が高まったことを受けて上昇一服となった。米ペンシルベニア州の下院補選で民主党候補が勝利宣言したことや、米国が知的財産侵害を理由に中国に最大600億ドルの制裁関税を検討しているとの報道もドル売り材料となり、ドル・円は一時105円60銭まで下落する場面があった。

ただ、先週発表された米経済指標は市場予想を上回るものが多かったことから、米国金利の先高観は後退せず、リスク回避的なドル売り・円買いは週末前に一巡した。16日のニューヨーク市場では2月鉱工業生産が市場予想を上回ったことや、3月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が14年ぶりの高水準に達したことを受けてドル買いが優勢となった。

先週のドル・円の取引レンジは、105円60銭から107円29銭となった。取引レンジ:105円60銭-107円29銭。

■ドルは伸び悩みか、米中貿易摩擦が相場圧迫の可能性

今週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備理事会(FRB)は3月20-21日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利を1.25%-1.50%から1.50%-1.75%に引き上げる公算。3月の追加利上げは確実視されており、市場参加者の関心は利上げペースに向けられている。FOMC予測で市場コンセンサスである3回以上の見通しが示された場合、長期金利はやや上昇し、主要通貨に対するドル買いが優勢となりそうだ。ただし、利上げペースの加速を嫌って米国株が大幅安となった場合、ドルの上値は重くなる可能性がある。

一方、トランプ政権は中国などをターゲットに保護主義的な政策を強行する方針とみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は14日、トランプ政権が中国に対して米国の対中貿易赤字を1000億ドル減らすよう求めたと報じた。2017年における米国の対中貿易赤字は3752億ドルで商品貿易赤字全体(7962億ドル)の半分近くを占めている。赤字額の大きさは以前から問題視されており、今年11月の中間選挙に向け各州での予備選が予定されるなか、トランプ政権は保護主義的な通商政策を維持すると予想される。中国や欧州連合(EU)との貿易摩擦が深刻化することへの警戒感は残されており、ドルを積極的に買いづらい状態は続く可能性がある。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(3月20-21日)

米FRBは日本時間22日午前3時に声明を発表し、その後パウエルFRB議長が記者会見する。政策金利は1.50%から1.75%に引き上げられる公算。すでに織り込み済みだが、利上げペース加速への思惑が広がればドル買いが強まる可能性がある。

【米・2月耐久財受注】(23日発表予定)

23日発表の米2月耐久財受注は前月比+1.6%と、1月実績の-3.6%を上回る見通し。輸送用機器を除く数字は同-0.3%から+0.5%に改善される見込み。2月実績が市場予想を上回った場合、1-3月期国内総生産(GDP)成長に寄与する可能性があり、ドル買い材料になる。

予想レンジ:104円50銭-107円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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