新興市場見通し:地合い睨みながら中小型株物色の流れ、IPOラッシュも活況

市況
2018年3月17日 16時33分

先週の新興市場では、東証1部の主力大型株に比べ、中小型株の堅調ぶりが目立つ場面が多かった。週初こそ米2月雇用統計を好感した大型株への買いが先行したが、その後は国内外の政治情勢を巡る不透明感が相場全体の重しとなるなか、個人投資家の物色は中小型株に向かった。ただ、週末には利益確定売りがかさみ、資金の逃げ足の速さも窺えた。また、週後半にはIPOラッシュがスタートし、賑わいを見せた。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.0%であったのに対して、マザーズ指数は+2.1%、日経ジャスダック平均は+1.3%だった。

個別では、ミクシィ<2121>が週間で1.4%高となる一方、サイバーダイン<7779>が同0.4%安、そーせいグループ<4565>が同4.6%安となるなど、マザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。売買代金上位ではソレイジア・ファーマ<4597>やMRT<6034>の上昇が目立ち、電通<4324>との合弁会社設立を発表した富士山マガジンサービス<3138>が週間のマザーズ上昇率トップとなった。一方、フィル・カンパニー<3267>などが利益確定売りに押され、上期決算が計画下振れとなった日本スキー場開発<6040>が下落率トップだった。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同11.9%高と強いリバウンドを見せた。エン・ジャパン<4849>も同7.5%高と堅調だった。売買代金上位では明豊エンタープライズ<8927>が決算発表にかけて買われ、セルフレジ精算機の発売が材料視されたアルファクス・フード・システム<3814>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。反面、ユニバーサルエンターテインメント<6425>などが軟調で、アミタHD<2195>が下落率トップだった。IPOでは、神戸天然物化学<6568>や日総工産<6569>が大型案件ながら堅調な初値形成となった。フェイスネットワーク<3489>は公開価格の約2.3倍となる高い初値を付けた。

今週の新興市場では、相場全体の地合いを睨みつつも、引き続き中小型株物色の流れとなるだろう。海外では3月19日からの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や20日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)といった重要イベントが相次ぎ、主力大型株は積極的に手掛けづらい。一方で個人投資家の物色意欲は根強く、値幅取り狙いの物色は中小型株に向かうものと考えられる。

今週は、3月19日にシステム ディ<3804>、22日にオプトエレクトロニクス<6664>などが決算発表を予定している。また、20日には2月訪日外客数の発表が予定されており、堅調推移が続けばHANATOUR JAPAN<6561>や手間いらず<2477>といったインバウンド(訪日外国人客)関連銘柄に改めて関心が向かいそうだ。週後半ごろからは3月末の配当や株主優待の権利取りの動きが広がることが想定される。

IPO関連では、共和コーポレーション<6570>など5社が新規上場する。引き続き公開規模の大きな案件が散見されるが、足元でIPO銘柄への資金流入が強まっていることから、初値の公開価格割れリスクは小さいと考えられる。3月23日上場のキュービーネットHD<6571>は公開規模が253億円と大きいが、10分1000円のヘアカット専門店として知られている。同日上場のファイバーゲート<9450>などは人気が高いようだ。なお、先週はHEROZ<4382>(4月20日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

《HK》

提供:フィスコ

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