北恵 Research Memo(8):重点商品の販売に注力、各地域でのシェアアップを狙う

特集
2018年3月22日 15時38分

■中長期の成長戦略

1. 業界の現状と今後

今後の日本では人口減少が続くことから、長期的には国内の住宅市場は大きな成長は望めない。中期的には、2017年4月に予定されていた消費税増税(8%から10%)が2019年10月に延期されたが、これは住宅市場にとっては取りあえずプラス要因だろう。その一方で住宅取得にかかる贈与税の非課税枠拡大、住宅ローン減税、すまい給付金など、政府から出されている各種の新築住宅政策は継続されている。加えてマイナス金利政策も住宅市場には追い風となることが期待される。これらの各種優遇政策や低金利が消費者にもっと浸透していけば、新築住宅の需要はある程度下支えされ需要が喚起される可能性は高い。このため北恵<9872>にとっての事業環境は必ずしもアゲインストではなく、むしろ業績拡大のチャンスにも成り得るだろう。

2. 今後の商品戦略

同社では以下の3商品を「重点商品」と位置付けて、これらを特に積極的に販売していくことで他社との差別化を図り、競争優位性を確立する計画だ。

(1) 住宅設備機器

キッチン、ユニットバスなどを中心に販売を強化する。

(2) 施工付販売

主に外壁工事、住設工事などの工事品質をさらに向上させ、販売強化を図る。

(3) オリジナル商品

新規開拓の提案ツールとして、また、既存得意先のインストアシェアを高めるため、顧客の求める商品を積極的に開発し、商品ラインアップの再構築を図る。特に2016年11月期から注力している商品の1つが厚張り複合フローリング「シェールフォレ」であり、以下のような特色を持っている。

a) 表面は幅150mmx長さ1,820mm2mm厚の一枚単板を7層のカバ合板で贅沢に使用

b) 3つの貴重な樹種(ブラックウォールナット、メープル、オーク)を表面単板使用

c) 7層のカバ合板を基材に使用することで、無垢板の風合いを維持しながら床暖房に対応

このような特色を前面に打ち出し、オリジナル商品として拡販を図っていく計画だ。

また公共施設や講堂などの非住宅市場向けに開発された「かる~い天井R」の独占販売権を獲得し、今期から本格的に注力していく計画だ。過去の多くの震災では、地震そのものだけでなく天井の落下による死傷者が多かったことから、2014年4月から特定天井(高さ6m、水平投影面積200平方メートルかつ構成部材の質量が2kg/平方メートルを超えるもの)には定期的な検査と報告が義務化された。それに対して同社が販売する「かる~い天井R」は以下のような特色を持っていることから、特定天井の対象外となり、公共施設などで多くの需要が期待できる。

a) 樹脂ジョイナーとグラスウール基材のパネルで天井仕上げ材を軽量化、2kg/m2以下を実現

b) グラスウールの柔軟性により天井の振動や衝撃を吸収し脱落を抑制する

c) 不燃材として国土交通大臣認定を取得。延焼リスクを低減

3. 今後の地域戦略

地域的な戦略としては、施策を確実に実行していくことで各地域でのシェアアップを目指す計画だが、特に首都圏を中心とした東日本に注力する。

4. 今後の市場戦略

今後は以下の4つの市場での拡販・拡大を図る計画だ。

(1) 新規取引先=新築

地域の優良企業、住宅メーカー、貸家市場での需要を確実に取り込む。

(2) リフォーム市場=既築

リフォーム専門業者、マンションリノベーション、ホームセンター、家電量販店などを取り込む。

(3) 非住宅市場

商業施設などの非住宅市場の需要を取り込む。

(4) 海外市場

既にベトナムに駐在員事務所を開設しているが、今後は同国の住宅市場を本格的に開拓する。さらに将来的にはASEAN市場への拡大を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

提供:フィスコ

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