来週の相場で注目すべき3つのポイント:日米首脳会談、シリア情勢、HEROZ上場
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22200-下限21500円
来週は17日から18日の首相訪米による日米首脳会談が注目される。北朝鮮問題を除くと、日米FTA(2国間自由貿易協定)交渉開始要求や為替・金融政策に批判的な言及が米国側からあった場合、為替の円高進行や株式市場がネガティブに受け取る可能性がある。また、安倍首相の内閣支持率にも影響を与えることにもなるだけに注目度は大きい。日米首脳会談が穏健に終了した場合、日経平均は戻りを試す展開となり、2月28日以来となる22000円台の回復に向けたトレンド形成が期待される。一方、首脳会談がネガティブ視されるようだと、21000円台のボックスを維持できるかに焦点が移るほか、主要ハイテク企業を皮切りに25日から本格化する決算発表への警戒感が強まることが懸念される。12日のファーストリテイリング<9983>の決算発表で内需関連株の物色は目先の峠を越え、本格的な業績相場にシフトする助走期に入ろう。
4月第1週の投資主体別売買動向では、海外投資家が株数ベースで13週ぶりに買い越しに転じた。1月第2週から続いた海外投資家売りは、約9.4兆円で一巡し、本格的とまではいかないものの日本株買いに転じている可能性がある。裁定買い残は3月23日をボトムにして増加基調にあり、空売り比率も過去最高となった3月23日をピークにして高水準ながらも減少傾向に転じていることなどから、需給面では基調の変化も読み取ることができる。テクニカル的には上昇してきている5日線が引続き支持線として働いてくるかが焦点となる。
日米首脳会談をのぞいたスケジュールでは、米国景気の動向を確認する経済指標のほか、IPO、外交面でイベントを控えている。米国では、16日に3月小売売上高、4月NY連銀製造業景気指数、17日に3月住宅着工件数、3月鉱工業生産・設備稼働率、18日は米地区連銀景況報告(ベージュブック)、3月CB景気先行総合指数と景気・経済動向判断の指標が相次いで発表される。この他、17日に中国が1-3月期GDP、3月鉱工業生産を発表、20日はG20財務大臣・中央銀行総裁会議がワシントンで開催される。国内では、18日に3月貿易統計、鈴木日証協会長会見、19日にモスクワで日露戦略対話、20日には3月消費者物価指数の発表を控え、前人気が高い人工知能(AI)関連企業のHEROZ<4382>がマザーズ市場に新規上場する。AI関連株物色のすそ野が広がる展開が期待されよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米トランプ政権は13日、シリアに対する軍事行動を決定した。英、仏も攻撃に参加する。シリアへの軍事介入によって米国とロシアの関係が大幅に悪化するとの見方があることから、週初よりリスク回避の取引が拡大する可能性がある。
また、トランプ米政権は貿易不均衡の是正にも注力しており、国益最優先の通商政策では、対中、対日貿易赤字の是正が焦点になっていることから、リスク選好的なドル買い・円売りは抑制される可能性がある。米国企業の業績改善を好感して米国株式が堅調に推移した場合はドル買い材料となるが、シリアへの軍事介入の進展次第では米国株式が大幅安となる可能性もある。
中国の習近平国家主席は10日、ボアオ・アジアフォーラムで演説し、中国経済の開放をさらに進め、自動車を含む一部製品の輸入関税を年内に引き下げる方針を表明した。貿易相手国や外国人投資家に対し金融市場などへのアクセスを大幅に拡大する方針も強調したことから、米中貿易戦争はひとまず回避されるとの見方が広がっている。
■来週の注目スケジュール
4月16日(月):首都圏マンション発売、米小売売上高、米NAHB住宅市場指数など
4月17日(火):中小売売上高、独ZEW期待調査、日米首脳会談など
4月18日(水):貿易収支、ユーロ圏CPI改定値、ベージュブックなど
4月19日(木):英小売売上高指数、米フィラデルフィア連銀製造業景況指数など
4月20日(金):百貨店売上高、ユーロ圏消費者信頼感速報値など
4月21日(土):国際通貨金融委員会など
4月22日(日):G7外相会合、ドイツ社会民主党が党大会など
《TM》
提供:フィスコ