新興市場見通し:マザーズ指数重く材料株を個別物色、4月最後に注目IPOも
先週の新興市場では、日米首脳会談を通過して円高一服とともに日経平均がやや持ち直すなか、マザーズ指数や日経ジャスダック平均は弱い動きとなった。主力株を中心に中小型株ファンドの解約に伴うものとみられる売りが出て、値動きの悪さを嫌気した個人投資家からの売りも誘ったようだ。国内外のリスク要因に対する個人投資家の警戒感の根強さも窺えた。物色は材料性の強い小型株に集中する格好となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.8%であったのに対して、マザーズ指数は-1.9%、日経ジャスダック平均は-0.6%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で1.8%高となったものの、サイバーダイン<7779>が同1.7%安、そーせいグループ<4565>が同7.1%安と軟調で指数を下押しした。ティーケーピー<3479>は決算発表直後に売られる場面もあったが、持ち直して同0.2%安となった。売買代金上位ではメルカリ上場観測報道による材料出尽くし感からユナイテッド<2497>が大きく売られ、決算発表のサインポスト<3996>が週間のマザーズ下落率トップだった。一方、国内運用会社の株式買い増しが観測された直近IPO銘柄のSOU<9270>は逆行高。また、ICO(仮想通貨技術を使った資金調達)実施計画を発表したグローバルウェイ<3936>、日本郵政キャピタルに対する第三者割当増資等を発表したパルマ<3461>が上昇率上位となった。ジャスダック主力は高安まちまちだが、エン・ジャパン<4849>が3.9%安となるなど人材サービス関連の下げが目立った。ファンドの解約売りとみられている。また、セルシード<7776>は25日線割れで手仕舞い売りがかさんだこともあり、週間のジャスダック下落率トップだった。反面、ネクスグループ<6634>が決算を受けて売買代金、上昇率ともにトップとなった。IPOでは注目のHEROZ<4382>が4月20日に新規上場したが、買い気配のまま初値が付かなかった。
今週の新興市場では、業績修正などの材料を手掛かりとした個別物色中心の展開となりそうだ。マザーズ指数は年初来安値圏で推移し、値ごろ感から押し目買いの動きも見られる。しかし、物色は比較的需給の軽い東証1部等の中小型株に向かっている印象で、足元のマザーズ売買代金はなお低調に推移している。主要企業の決算発表がスタートすることもあり、マザーズ銘柄へ本格的に資金が向かい始めるまでにはまだ時間を要するだろう。
今週は、4月25日にデファクトスタンダード<3545>、沖縄セルラー電話<9436>、26日にセプテーニ・HD<4293>、インフォコム<4348>、27日にファンデリー<3137>、ソーシャルワイヤー<3929>、フリークアウト・HD<6094>、ソウルドアウト<6553>、APAMAN<8889>、エリアリンク<8914>などが決算発表を予定している。また、日米主要企業の決算も物色の手掛かりとなる可能性があるため注視したい。
IPO関連では、4月25日にアイペット損害保険<7323>とベストワンドットコム<6577>がマザーズへ、27日にエヌリンクス<6578>がジャスダックへそれぞれ新規上場する。ペット保険事業を展開するアイペット損害保険、クルーズ旅行に特化したオンライン旅行予約サイトを運営するベストワンドットコムなどは時流に乗った事業内容で注目されている。また、エヌリンクス上場後は当面IPO空白期間となるため、投資家の参加意欲が高まりやすいだろう。
《FA》
提供:フィスコ