米国株式市場見通し:企業決算や経済・金融政策に注目
先週は米英仏によるシリア攻撃が実施されたが、シリアやロシアとの戦闘は発生しておらず事態が深刻化する可能性は低い。北朝鮮と韓国は、27日に首脳会談を開催予定で、6月までに米朝首脳会談を開催すべく交渉が進んでいることから、地政学リスクは後退している。中国との貿易摩擦問題も交渉による解決が重視され、様子見の展開が続いており、対外政策を巡る懸念は収束しつつある。今週以降は、1-3月期主要決算や経済・金融政策に再び注目が集まりそうだ。
主要企業の1-3月期決算は、ハイテク銘柄では検索大手のアルファベット(23日)、短文投稿サイトのツイッター(25日)、半導体のクアルコム(25日)やインテル(26日)、SNSのフェイスブック(25日)、決済サービスのペイパル(25日)、オークションサイトのイーベイ(25日)、ネット小売のアマゾン(26日)、ソフトウェアのマイクロソフト(26日)などの発表が予定されている。フェイスブックは、外部機関の情報漏洩問題についてザッカーバーグCEOが議会証言を行う事態となった。昨年の10-12月期決算では、北米地域で1日あたりアクティブユーザー数(DAU)が初の減少となり、今回の問題を受けてユーザー離れが加速しているかが焦点となる。また、セキュリティ分野への投資増額及び人員計画によるコスト増加にも注意が必要だ。
その他主要企業では、複合企業のユナイテッド・テクノロジーズ(24日)、飲料メーカーのコカコーラ(24日)、通信大手のベライゾン(24日)やAT&T(25日)、建設機械のキャタピラー(24日)、ケーブルテレビのコムキャスト(25日)、クレジットカードのビザ(25日)、ファストフードのチポトレ・メキシカン・グリル(25日)、自動車大手のフォード(25日)やゼネラル・モーターズ(26日)、航空大手のアメリカン航空やサウスウエスト航空(26日)、コーヒーチェーンのスターバックス(26日)、石油メジャーのエクソン・モービルやシェブロン(27日)などの決算が控えている。3月にサウスウエスト航空は、1-3月期決算の業績見通しを下方修正したが、エンジン爆発による死亡事故を受けて、エンジン等の検査に伴うコスト増加や顧客離れが予想される。スターバックスは、商品を注文せずに店内にいた黒人男性客2名が逮捕された問題で、抗議行動や批判が続いており、株価が続落している。人種差別や偏見に対する社員教育を強化することを表明しているが、仮に決算内容が予想を上振れても、上値の重い展開となりそうだ。
経済指標では、3月シカゴ連銀全米活動指数(23日)、3月中古住宅販売件数(23日)、3月新築住宅販売件数(24日)、4月消費者信頼感指数(24日)、3月耐久財受注(26日)、1-3月期GDP速報値(27日)などの発表が予定されている。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」の試算(4月17日時点)によると、1-3月期GDP成長率は+2.0%と市場予想に一致している。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ