新興市場見通し:大型株に関心…決算対応と小型材料株物色へ、ラクスルIPO発表
先週の新興市場では、為替の円安や企業決算を好感した買いで日経平均が堅調な動きとなるなか、マザーズ指数や日経ジャスダック平均は小動きだった。投資家心理の改善は追い風となったが、東京エレクトロン<8035>や京セラ<6971>など決算を受けて値を飛ばす大型株が多く、中小型株には投資家の関心が向かいづらかったようだ。また、従前の株価下落による需給調整も依然続いているものとみられる。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.4%であったのに対して、マザーズ指数は+0.7%、日経ジャスダック平均は+0.4%だった。
個別では、ミクシィ<2121>が週間で3.6%安、サイバーダイン<7779>が同0.4%安となる一方、そーせいグループ<4565>が同4.1%高となるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。ティーケーピー<3479>は同11.2%高と上げが目立った。売買代金上位では、引き続き日本郵政キャピタルに対する第三者割当増資等が材料視されたパルマ<3461>、AI(人工知能)プロセッサー新製品の提供を開始したディジタルメディアプロフェッショナル<3652>が大きく買われた。一方、直近上昇の目立ったグローバルウェイ<3936>やロコンド<3558>などが利益確定売りに押された。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同8.2%安となった。ファナック<6954>の株価下落が影響した面もあるようだ。エン・ジャパン<4849>も同4.8%安と軟調だった。売買代金上位では、アスラポート・ダイニング<3069>などとの業務提携を発表した小僧寿し<9973>が買いを集めた。反面、決算がネガティブ視されたセプテーニ・HD<4293>などの下げが目立った。IPOでは、4月20日に上場したHEROZ<4382>が3日目に入り公開価格の約10.9倍となる初値を付けた。現行のIPO制度において最高の初値上昇率となった。また、アイペット損害保険<7323>など3社が新規上場し、ベストワンドットコム<6577>が公開価格の約3.4倍となる高い初値を付けた。
今来週の新興市場では、決算を受けた個別対応中心の展開となりそうだ。新興市場でも連休明けには主力企業の決算発表が本格化する。ただ、大型株の決算が注目される現在の状況を鑑みると、新興市場への本格的な資金流入は決算発表一巡を待つ必要がありそうだ。全体として方向感が出にくいため、値動きの大きい小型の材料株が物色を集めやすい。ただ、マザーズ指数は煮詰まり感が強まりつつあり、商いが薄いだけに大きく振らされる場面が出てくる可能性もある点には注意したい。
今来週は、5月2日にジャパンインベストメントアドバイザー<7172>、8日にユナイテッド<2497>、9日にラック<3857>、グレイステクノロジー<6541>、シノケングループ<8909>、10日にミクシィ、UTグループ<2146>、日本マクドナルドHD<2702>、セリア<2782>、そーせい、エン・ジャパン、11日にじげん<3679>、PKSHA Technology<3993>、日特エンジニアリング<6145>、キャリア<6198>、ハーモニック、ナカニシ<7716>などが決算発表を予定している。
IPO関連では、ラクスル<4384>(5月31日、マザーズ)の新規上場が発表されている。公開規模が大きく需給良好とは言いづらいが、有力ベンチャーのIPOとして注目されそうだ。なお、ラクスル上場までの約1カ月間はIPO空白期間となる。直近IPO銘柄を見直す流れとなることも想定される。
《HK》
提供:フィスコ