来週の相場で注目すべき3つのポイント:中東情勢問題、海外投資家の動向、MSCI定期入替
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23500-下限22500円
今週の日経平均は引き続き、米国株動向をにらみつつ堅調な展開が予想される。日経平均は22500円を挟んだもみあいを上放れており、次の節目である2月2日以来となる23000円に向けて戻りを試す場面もありそうだ。米中貿易摩擦の話題が一服し、6月12日にシンガポールでの米朝首脳会談が決定したことでアジアでの地政学リスクが後退する一方、トランプ米大統領は8日にイラン核合意離脱と対イラン制裁の再開を表明するなど、海外情勢では強弱材料が混在している。
しかし、日経平均のテクニカル的には、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」を示現しており、通常であれば相場が本格的な上昇に入るサインとなる。今回のように75日線が下向きとなっている場合は「ダマシ」となるケースも多いが、11日の一段高でリスクオンのムードが台頭してきている。なお、5月第1週の投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1・2部合計)で海外投資家は、4月第4週の1509億3987万円の売り越しから17億774万円と小幅ながら2週ぶりの買い越しに転じてきており、海外投資家の動向が需給のポイントともなりそうだ。
主要経済指標スケジュールとしては、国内で14日に4月国内企業物価指数、16日に1-3月期四半期実質国内総生産(GDP)速報値と3月鉱工業生産・確報値、17日に3月機械受注、18日に4月全国消費者物価指数と4月の訪日外国人数が発表される。海外では、15日に米4月小売売上高、米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に米4月鉱工業生産・設備稼働率、17日に米で5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数と4月景気先行指標総合指数が発表される。なかでも、3月機械受注の事前予想は前年同月比マイナス3%だが、今年1月と2月は結果値が予想値を上回っている。
このほか、14日はイスラエルが建国70周年を迎え、15日に都内で日韓経済人会議(16日まで)が開催、日本時間早朝にはMSCI構成銘柄の定期入替が発表される予定だ。また、昨年は7社、2016年12社、2015年10社のIPOが6月にあった。今週はこの6月IPO銘柄の発表がある可能性が高い。
■為替市場見通し
今週のドル・円は上げ渋りか。欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行(BOE)などによる早期利上げ観測は後退しており、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針を受けたドル買いが継続する可能性がある。ただ、米トランプ外交で中東地域における地政学リスク増大が懸念されており、リスク回避的なドル売り・円買いが再び広がる可能性がある。
ECBやBOEによる早期利上げ観測は後退し、豪準備銀行(中央銀行)やNZ準備銀行(中央銀行)、日本銀行は現行の政策金利・金融政策を長期間維持する見通し。対照的に、FRB当局者は景気拡大を背景に、今年は少なくともあと2回の利上げを実施できるとの自信を示している。米4月消費者物価コア指数(CPI)は市場予想を下回ったものの、2%台の上昇率を維持している。米10年債利回りは節目の3%を明確に上回った場合、ドルは110円台に再上昇する可能性がありそうだ。
一方、米トランプ政権は、イラン核合意から離脱することを決定し、同国への制裁を再開するとみられる。制裁発動に関しては一定の猶予期間を設けているものの、米国の離脱によって中東情勢が大幅に悪化する可能性は残されている。
■来週の注目スケジュール
5月14日(月):在イスラエル米大使館のエルサレム移転に伴う式典など
5月15日(火):米小売売上高、米企業在庫など
5月16日(水):南ア失業率、米設備稼働率など
5月17日(木):訪日外国人客数、米新規失業保険申請件数など
5月18日(金):欧貿易収支、消費者物価コア指数など
《SK》
提供:フィスコ