【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ “堅調”日本株、後押しする2つの円安要因
「“堅調”日本株、後押しする2つの円安要因」
●3%台堅めに向かう米長期金利
日経平均株価は2万2500円台固めの動きを続けていたが、ようやく上抜き始めた。5月に入って2万2500円台固めに入り、ようやくそれが終わったところだ。
これでもう後はこのまま上がり続けるばかり、とまでは言えないが、堅調に続伸する確率が高い。
なにしろ米国経済が順調この上ない。成長拡大を続けているため、一部ではインフレを懸念する声も聞かれるのだが、長期債利回りを見ている限り、いまのところ案じなければならないほどのインフレ現象は見られない。
ただ、長期債利回りは基調としては2.9%台で推移しているものの、時々3%台に乗せたりする状況は、日経平均が2万2500円台固めをしていたようなものと見ることもできる。つまり、3%台固めに向かっており、今後は3.5%に向かい始めることも十分あり得る。
いまはこの点を一応、頭に入れて売買する必要がある。
長期債利回りの3%台乗せに加え、もう一つ大きな動きが見られるのが 原油先物価格だ。トランプ米大統領がイランとの核合意を破棄、経済制裁を課す方針を明確にしていることでWTIの原油先物価格は1バレルが71ドル台に乗っている。
以上の材料は、東京市場にとってプラスかマイナスか。
プラスと見てよい。どちらもドル高・円安要因となるからだ。
●原油高メリット株を中心に選好
市場では原油先物価格の上昇に対する警戒感が強いものの、株式投資の観点から見るとそれは好材料になる。
米国は原油の輸出国であり、原油高は歓迎すべきことになる。単純に石油関連株が上昇するし、石油を原材料として使用している化学メーカーなどにとっては製品値上げの理由を提供することにもなるからだ。
日本にとっては、 原油高は円安要因になるとともに、 化学メーカー、電力・ガス会社などには当面、原材料高が収益減要因になるものの、やがて値上げ可能となることで株価にはプラスに働く。
そこで注目銘柄だが、まずは日産化学工業 <4021> だ。化学肥料から出発、いまでは農業化学全般に展開、液晶用などの機能性化学品、さらには動物用医薬品原料などにも強いため、値動きはスローながら続伸の確率が高いと見る。
以前取り上げたことがあるが、その後、某大手証券のレーティング引き下げで急落してしまった昭和電工 <4004> も石油化学に強く、株価も見直し買いが入り始めている点に着目だ。
原油価格が上がるとなれば当然、原油の扱いに強い三菱商事 <8058> も忘れてはなるまい。
原油から他に目を転じよう。油状ではあるものの、石油製品ではない、動植物性の「油脂」の製造に強い不二製油グループ本社 <2607> も魅力的だ。いま特に需要が伸びているのは世界的に健康が強く意識されていることから、大豆タンパク製品。健康ブームが一時的に終わるとは考えられないだけに株価も期待が持てる。
新興市場銘柄にも目を向けておくと、マザーズのすららネット <3998> [東証M]がある。オンライン学習教材の販売に強く、自社でオンライン学習サイトを運営するとともに、学習塾に教材も提供。特に低学力生の指導に熱心で、全国で利用者が増加を続けている点が高評価できる。
2018年5月11日 記
株探ニュース