大塚竜太氏【高まる上昇ムード、セルインメイ逆展開の東京市場】(1) <相場観特集>
―米株高が追い風、見えた日経平均2万3000円突破の道筋―
週明け14日の東京株式市場は、米株上昇を引き継ぐ形で日経平均株価は3日続伸と上値追い基調を継続した。これまで企業の決算発表を絡め先行き慎重な見方も強かったが、その不安を拭うように全体相場は徐々にリスクオンの流れが形成されている。フシ目となる2万3000円ラインを視界にとらえ、さらなる上昇が見込めるのか。市場第一線で活躍する業界関係者に5月、6月相場の展望について聞いた。
●「決算発表通過で株高局面に突入」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
東京市場はゆっくりと、しかし着実に上値指向を強めている。企業の決算発表はあす(15日)でほぼ出揃う感じとなるが、ここまでの経緯を総括してみれば、思っていたよりも良い数字だったように感じている。企業のガイダンスリスクは杞憂に終わったとみてよく、全体ベースで今期増益が減益かは微妙なところだが、実勢よりも厳しめにみている為替前提を考慮した場合、今後は今の収益見通しに上方修正圧力が加わることになる。したがって弱気になる必要は全くない。
国内経済指標では16日に発表される1-3月期のGDP(速報値)が注目となるが、事前コンセンサスとしては実質で約2年ぶりのマイナス成長となる可能性が意識されており、仮にそうなったとしてもサプライズはなく、相場へのネガティブな影響は限られよう。iPhoneX(テン)の販売不振に伴う電子部品輸出の停滞や、天候問題に左右された国内消費の低調は既に織り込み済みで嫌気材料として尾引くことはなさそうだ。
北朝鮮を巡るリスクは6月12日に米朝首脳会談が開催される方向となり、状況は大きく改善の方向に動き出した。また、米中間の貿易摩擦についても、今週中に2回目となる公式交渉の実施が予定されている。お互い丁々発止とやり合っているように見えるが、水面下では落としどころを探す動きで、大きくこじれることはないとみている。中国は強固な習近平体制のもとで内需拡大を命題に掲げており、これを受けて今後ビジネスチャンスにつなげていく日本企業も出てきそうだ。
日経平均は早晩2万3000円台に復帰し、さらに今夏には2万4000円ラインの突破から、1月23日につけた高値2万4124円を払拭して新高値圏突入の可能性が有力視される。物色対象としては、円安を追い風に米国市場に追随する形で半導体関連株など電機セクターの見直しが進む公算が大きいとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース