大谷正之氏【高まる上昇ムード、セルインメイ逆展開の東京市場】(3) <相場観特集>
―米株高が追い風、見えた日経平均2万3000円突破の道筋―
週明け14日の東京株式市場は、米株上昇を引き継ぐ形で日経平均株価は3日続伸と上値追い基調を継続した。これまで企業の決算発表を絡め先行き慎重な見方も強かったが、その不安を拭うように全体相場は徐々にリスクオンの流れが形成されている。フシ目となる2万3000円ラインを視界にとらえ、さらなる上昇が見込めるのか。市場第一線で活躍する業界関係者に5月、6月相場の展望について聞いた。
●「6月上旬の2万4000円台乗せ目指しジリ高歩調」
大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)
6月12日にシンガポールで開催が予定される米朝首脳会談までの、今後約1ヵ月間は、日経平均は2万4000台乗せを目指したジリ高歩調となりそうだ。18年3月期決算、19年3月期業績見通しともに、総じて事前予想に比べて良好な内容となった。また、主要輸出関連企業の今期想定為替レートは、多くが1ドル=105円近辺に集中しており、足もとの1ドル=109円台に比べて、業績の見通しに余裕がある。
さらに、3月第4週以降買い越しに転じた海外投資家に加え、国内機関投資家も今後は買い姿勢を堅持するものと予想される。また、上場企業サイドでも自社株買いや増配を積極的に推進する流れが継続しており、株式需給面からも株価を下支えする環境が整っている。日経平均のチャート面では、2月上旬の下落場面で開けた2万3100円水準のマドを埋めてくれば、1月23日取引時間中の年初来高値2万4129円34銭を目指す展開が見込まれる。
決算発表を振り返って、セクターで事前予想に比べて好調という印象を受けたのは不動産だった。個別銘柄では、車載用の電子部品で健闘しているセラミックコンデンサーなど受動部品のTDK <6762> 、半導体のローム <6963> に注目している。さらに、5G向け計測器の需要拡大が見込めるアンリツ <6754> も見逃せない。
一方、アサヒグループホールディングス <2502> の18年12月期第1四半期(1-3月)の連結営業利益は、248億400万円(前年同期比81.8%増)の大幅増益となった。M&A効果などで海外事業が好調で、イタリアやオランダなどの西欧やルーマニアなどの売上高が増加した。さらに、シャフトやギアなどを扱う自動車部品の武蔵精密工業 <7220> は、電気自動車(EV)向けの商品開発を積極的に推進している点を評価したい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。
株探ニュース