欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、節目110円乗せも売り圧力に警戒

通貨
2018年5月15日 17時25分

15日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る展開を予想したい。米国の利上げ方針継続や長期金利の上昇を背景に、ドルが買われやすい地合いは続く見通し。ただ、今晩の米国の経済指標だけで心理的節目の110円をしっかり上抜けるとは想定しづらい。

前日の海外市場は手がかり材料が乏しく、NY市場の取引レンジは25銭にとどまったが、本日のアジア市場では、株安にもかかわらず米10年債利回りが3.02%台まで上昇したことでドル買いが優勢になり、一時110円をつける場面があった。ただ、今月に入ってからの2回の110円トライは、いずれもワンタッチの後に押し下げられる展開となっている。今回も110円を上抜ける可能性はあるが、市場では節目付近の上値の重さが意識され、海外市場での経済指標を受けた値動きが注目される。

今晩は、ユーロ圏の1-3月期GDP改定値と米国の4月小売売上高の発表が手がかりとなる。ユーロ圏のGDPは、速報値で伸びが鈍化しており、改定値でも足元の欧州経済の回復ペースの鈍化が改めて示され、欧州中央銀行(ECB)の出口戦略の後ずれ懸念が強まればユーロ売り優勢となり、ドル選好地合いに振れるだろう。

ただ、米国の小売売上高も前回を下回る伸びになると予想されており、個人消費の伸び悩みにより景気の腰折れ懸念が広がれば、ドル売りになる可能性もある。一方、トランプ米政権の中東政策によりイランとイスラエルの対立が激化するなど、これまで外交努力で抑えられていた地域の問題が表面化。今後の混乱への警戒からある程度円買いも見込まれ、ドル・円は110円台に水準を切り上げたとしても上値を抑えられそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】

・17:30 英・1-3月ILO失業率(予想:4.2%、12-2月:4.2%)

・18:00 ユーロ圏・1-3月期GDP改定値(前年比予想:+2.5%、速報値:+2.5%)

・18:00 独・5月ZEW景気期待指数(予想:-8.2、4月:-8.2)

・18:00 ユーロ圏・3月鉱工業生産(前月比予想:+0.7%、2月:-0.8%)

・21:00 カプラン米ダラス連銀総裁が討論会参加(エネルギー市場や経済の見通し)

・21:30 米・4月小売売上高(前月比予想:+0.3%、3月:+0.6%)

・21:30 米・5月NY連銀製造業景気指数(予想:15.0、4月:15.8)

・23:00 米・5月NAHB住宅市場指数(予想:69、4月:69)

・23:00 米・3月企業在庫(前月比予想:+0.1%、2月:+0.6%)

・23:00 米次期FRB副議長候補、理事候補の指名承認公聴会(上院銀行委員会)

・02:00 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演(ミネソタ経済クラブ)

・05:00 米・3月対米証券投資収支(2月:ネット長期有価証券+490億ドル)

《FA》

提供:フィスコ

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