清水洋介氏【方向感定まらぬ東京市場、6月相場はこう動く】(2) <相場観特集>
―トランプ米大統領に振り回される相場、ここからの展望は―
週明け28日の東京株式市場は前週末終値近辺で売り買いを交錯させる展開。全体売買代金が縮小傾向のなかで様子見ムードが色濃かったものの、売り圧力も限定的で下値を試すような動きもみられず、結局日経平均株価はプラス圏で着地した。前週は荒れた相場だったが、足もとの小康状態は何を意味するのか。反転への足掛かりを探す動きか、それとも一段の下落リスクを警戒すべき局面か。あすから実質6月商いとなるなか、市場第一線で活躍する識者にその見通しを聞いた。
●「当面は一進一退局面、高配当利回り株に妙味」
清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)
当面の東京株式市場は、上下に動きにくいレンジ相場を予想する。日経平均は、昨年9月以降、おおむね“40日周期”で動いている。今年に入ってからは1月中旬の2万4000円台の高値から3月下旬の安値までが「下落」局面、3月安値から5月高値までが「上昇」局面、次は昨年11月から12月がそうだったように「持ち合い」局面に入るとみている。
市場では、来月12日に予定されている米朝首脳会談や12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)などが、注目イベントとして関心を集めている。ただ、米朝首脳会談が東京株式市場に与える影響は限定的だろう。FOMCは利上げ観測が強いが、相場にはほぼ織り込まれている。
この持ち合い局面は7月中旬頃まで続くとみている。その後は夏場に向け、4-6月決算の結果次第で、上下どちらかに振れることになるのだろう。
こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均は2万2000~3000円前後を予想する。為替相場も1ドル=109円00~111円00銭のレンジ相場となりそうだ。
個別銘柄では、足もとの今期予想配当利回りが4%台のキヤノン <7751> や同5%前後のJT <2914> 、同3%半ばのブリヂストン <5108> など高配当利回り銘柄に注目している。日本の超低金利政策は当分続くことが予想されるほか、これら3銘柄の株価は底値圏にあるとみている。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(しみず・ようすけ)
大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。
株探ニュース