【植木靖男の相場展望】 ─ 日柄整理に移行か
「日柄整理に移行か」
●底入れは6月10日前後、遅くとも月内の公算
日経平均株価は5月21日に2万3000円台に乗せた。3ヵ月半ぶりである。だが、ここまでが精一杯。あと再び下げに転じている。
2万3000円は市場がもっとも注目、また期待もした水準である。大台という心理的なフシであると同時に、1月高値から3月安値までの下げの約70%戻しの水準である。これは過去の戻り相場からみても、ほぼ限界値でもあるからだ。ちなみに13年6月底入れ後の反発もほぼ70%であった。13年の株価は筆者がもっとも注目する典型的な下げパターンである。
その後、3日連続安をみせて調整入りが確定した。3日連続安は、3月安値から2万3000円大台に乗せるまでに初めてみせる連続安だ。大きな変化のひとつだ。
かくして調整入りしたが、高値から8日ほど下げていったん落ち着きを見せている。これも典型的なパターンだ。
この落ち着きは、日柄で長くて7~8日間、13年のケースではその後第二段下げに入っている。だが、今回も第二段下げがあるとしても、当時と同じく下げは極めて緩やかなものであり、下げ幅も限定的。日柄整理に移行することになろう。
では、いつ頃底入れするのか。これは定かではないが、材料スケジュールでいえば6月10日前後か。
米朝首脳会談、米FOMCでの利上げ、国内ではメジャーSQなどが集中する。
長くとも6月中には反発のきっかけをつかめよう。もっとも、このシナリオがはずれ、深押しするとすれば、当然、次の天井は先送りされることになる。こうした市場の見方もあるようだ。年末に向けて高くなるとする見方は、底入れが長引くとみるからであろう。逆にいえば、6月に底入れして上昇軌道に乗れば、8~9月にかけて年内の高値を示現しよう。
●個別材料株物色が続く
今後の物色対象だが、今年の上昇相場にはテーマが見つからない。昨年と違い、個別材料株物色が続こう。ここ数年での最後の上昇相場ゆえの証左でもあろう。
さりながら、強いて探せば黒鉛電極関連、 仮想通貨関連か。
黒鉛電極御三家といえば、東海カーボン <5301> 、昭和電工 <4004> 、日本カーボン <5302> であろう。いま市場人気でいえば東海カーボンに圧倒的に軍配があがる。値段も悪くない。流動性も十分だ。仕手的要素もある。
だが、日本カーボンも捨てがたいのでは。もちろん、黒鉛電極のみならずリチウムイオン電池負極材など東海カーボンに引けをとらない。むしろ新たな収益の種としてGEの航空エンジン部品の炭化ケイ素の出荷が本格化する。将来の収益への寄与は大きいはず。
仮想通貨関連はまだ市場の認知が定まっていない。しかし、米ゴールドマン・サックスがこの事業に乗り出せば、いずれ中央銀行のデジタル通貨として市場を沸かすことになると期待される。いまは、マネックスグループ <8698> 、SBIホールディングス <8473> 、セレス <3696> 辺りか。
2018年6月1日 記
株探ニュース