【杉村富生の短期相場観測】 ─ 目先は強い銘柄を個別に攻める作戦が有効!

市況
2018年6月10日 9時15分

「目先は強い銘柄を個別に攻める作戦が有効!」

株式評論家 杉村富生

●投資環境はとりあえず“絶好調”だが…

株式市場を取り巻く投資環境はとりあえず、“絶好調”である。アメリカ市場のラッセル2000指数、NASADAQ総合株価指数は史上最高値圏だし、NYダウは1月26日の高値2万6616ドルを一気に奪回しそうな“勢い”をみせている。

為替は1ドル=110円前後の円安に振れている。しかし、投資家の皆さんの反応は鈍い。いや、むしろ「ひとつも儲からない」との嘆きの声ばかり。東証1部の売買代金は低水準だ。なぜだろうか。

この背景には外国人の投資行動があろう。再三指摘しているように、外国人は昨年11月~今年3月に約9.7兆円(現物が3.4兆円、先物が6.3兆円)売り越した。4月以降はどうか。先物は2.5兆円買い戻したものの、現物は2265億円の売り越しである。

その理由は? 彼らは(1)米朝首脳会談に期待していない(短距離ミサイルは廃棄されず、日本は負担増だけを求められる)、(2)トランプ政権の通商政策(貿易戦争)は外需主導の日本経済にダメージ、(3)政局の混迷→アベノミクスの終焉(最悪シナリオ)を想定――などがあろう。

●6~8月相場は“夏枯れ商状”に陥る!

企業業績については大手調査機関の多くが「2018年度は増益を確保できる」とみている。しかし、6月6日現在の日経平均株価の1株利益(予想ベース)は1662円と、実績ベース(1769円)比6%減益となる。

この減益は株価に織り込まれていない、と思う。もちろん、主軸企業の2019年3月期の想定為替レートは1ドル=100~105円となっている。現状の為替水準だと、間違いなく上方修正されるだろう。

だが、それは4-9月期(上半期)の決算を見てからになろう。すなわち、10月以降だ。一方、トランプ政権の“迷走”は11月の中間選挙までと判断している。国内政治は9月の自民党総裁選挙後には落ち着きを取り戻す、と考えている。

この結果、足元の相場は強いが、6~8月は徐々に“夏枯れ”商状に陥るだろう。だからこそ、目先は利食い優先、売り上がりを、と主張している。狙うのは引き続いてスマートバリュー <9417> [JQ]、青山財産ネットワークス <8929> [東証2]など強い銘柄(順張りパターン)だ。すなわち、外部環境の影響を受けにくい銘柄である。

主軸株ではやはり、日本板硝子 <5202> 、中外製薬 <4519> に注目している。日本板硝子は2019年3月期に「30円配当」を公約している。1000円絡みをうまく仕込めれば配当利回りは3%になる。これは魅力ではないか。

2018年6月7日 記

株探ニュース

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