米国株式市場見通し:4-6月期決算シーズンに突入

市況
2018年7月7日 15時12分

雇用統計では、非農業雇用者数が前月比21万3千人増と予想を大幅に上振れた一方で、失業率が上昇したほか、平均時給の伸びが予想を下振れ、雇用情勢には拡大余地が残されていることが示された。今週以降は、経済指標に加えて4-6月期決算発表シーズンを受けた企業業績に投資家の関心が集まるだろう。

米国が1回目の対中輸入関税を発動したことを受けて、中国は米製品に対する報復措置に踏み切った。トランプ大統領は、2週間以内に2回目の対中輸入関税を発動する可能性を示唆しており、貿易摩擦は一段とエスカレートする可能性がある。しかし、中国による対米投資制限については、従来の枠組み強化を選択して強硬措置を避けており、事態が深刻化するとは考えにくい。例えば、欧州連合(EU)からの自動車輸入に関税を課すとの案を撤回するとトランプ大統領が発言すると、ドイツ側も関税引き下げに前向きな姿勢を示すなど、通商政策を巡るリスクは緩和しつつある。寧ろ、今後の交渉で米国に有利な条件を引き出せるかが重要だろう。

決算発表では航空大手のデルタ航空(12日)、大手行のウェルズ・ファーゴ、JPモルガンチェース、シティグループ(13日)などの発表が予定されている。ファクトセット社の調査によれば、4-6月期のS&P500構成銘柄の利益は、6日時点で前年同期比20%の増益が予想されている。事前予想が保守的であることを考慮すれば、4-6月期は大幅な利益成長が期待できるだろう。エネルギー、素材、通信セクターの利益成長が予想される一方で、小売セクターは不振が見込まれている。

経済指標は、5月卸売在庫(11日)、6月生産者物価指数(11日)、6月消費者物価指数(12日)、6月輸入物価指数(13日)などの発表が控えている。13日は、中国の6月貿易収支の発表も予定されている。輸入物価指数は、原油価格の上昇を受けて2か月連続で上昇しているが、同指数は今後の利上げペースを占う重要な指標となるインフレ率に影響を与えるため、注目したい。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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