高橋春樹氏【“日銀プレー”で激変した相場の視界、この続きは?】(3) <相場観特集>
―トランプだけじゃない波乱のタネ、出口戦略への恐怖感―
週明け23日の東京株式市場は売り優勢となり、日経平均株価は300円安で2万2400円台を割り込んだ。ただ、メガバンクをはじめ銀行セクターなどが買われたこともあってTOPIXは小幅の下げにとどまった。日銀の金融緩和策が曲がり角にきているとの思惑がくすぶるなか、来週の日銀金融政策決定会合を控え、為替を絡めた仕掛け的な売りが炸裂した格好だ。きょうのイレギュラーな動きは、ここからの相場展望にも変化を生じさせる要因となるのか。第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。
●「8月中の日経平均2万3000円台乗せに期待感」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
きょうの日経平均は、前週末比300円安(1.33%)の大幅な下げとなった。トランプ米大統領が前週末に中国からの輸入品すべてに関税を課す意向を表明したのに加え、日銀が長期金利の誘導目標を引き上げるなど緩和姿勢を修正するとの観測や、外国為替市場での円高・ドル安進行の3つの懸念要因が重なったことが背景にある。ただ、株価指数先物主導の売りが目立ち、寄与度の大きなファーストリテイリング <9983> 1銘柄で、日経平均を112円分押し下げるなど偏りが顕著で、東証株価指数(TOPIX)の下落幅は6.28(0.36%)にとどまったことも考慮しなければならない。
今後の注目点は、今週中にグーグルの親会社であるアルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの代表的な米IT企業3社が相次いで4-6月期決算を発表することで、業績見通しの更なる上方修正とそれに連動した株価の上昇に関心が寄せられている。
日経平均は、3月以降月末から翌月の月初めの期間に安値をつける傾向がみられる。3月下旬から5月中旬に掛けて約3000円の上昇をみせて、その後7月5日まで約1600円の半値押しとなり、直近の18日には約1500円幅の戻しとなった。そこで、今回の押し幅は戻りの半値に当たる750円程度とみており、下値メドは2万2200円水準にとどまる可能性がある。
3月期決算の国内主要輸出企業の想定為替レートは、平均して1ドル=105~108円程度となっており、足もとの1ドル=111円近辺の円相場が持続すれば、業績が上方修正される可能性が濃厚だ。今週後半から本格化する国内企業の4-6月期決算では、利益の進捗率に注目している。進捗率の向上がEPS(1株当たり利益)の増加につながり、1ドル=110円を大きく突破するような極端な円高にならなければ、日経平均は8月中にも2万3000円台乗せが期待できそうだ。
このところ、株価指数先物主導売買の色彩が強まるなか、採用個別銘柄の値動きが大きく変動する相場環境となっており、大型株は個人投資家にとって波乱要素が多過ぎる面がある。そこで、物色対象としては中小型のネット系の成長企業で、スタートトゥデイ <3092> 、じげん <3679> 、アイスタイル <3660> といった銘柄に注目している。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース