米国株式市場見通し:米中貿易摩擦や経済指標に注目
先週の雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想を下振れたほか、平均時給が前月比横ばいとなり、FF金利の先物取引から算出される利上げ確率では、12月の利上げ確率が僅かに減少した。引き続き、貿易摩擦を巡る米中交渉や雇用以外の経済指標が注目される展開となるだろう。また9月3日のレイバー・デーの祝日頃まで夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多く例年、閑散取引となる時期だが、休暇を前後して一旦ポジションを手仕舞う動きが、相場全体の上値を抑える可能性があることに注意したい。
今週は、高級ホテルのマリオット・インターナショナル(6日)、エンターテイメントのウォルト・ディズニー(7日)、写真共有アプリを手掛けるスナップチャット(7日)、薬剤給付管理会社のCVSヘルス(8日)、口コミサイトのイェルプ(8日)、メディアの21世紀フォックス(8日)、ストリーミング端末のロク(8日)、クラウドストレージのドロップボックス(9日)などの発表が予定されている。CVSヘルスは、アマゾンの本格的なヘルスケア分野への参入の影響が懸念されており、注意が必要だ。
4日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の81%が決算発表を終了し、80%が利益、74%が売上高のアナリスト予想平均を上回った。全体では、6月末時点で20%の増益が予想されていたが、24%の増益見通しへと拡大した。携帯端末のアップルや製薬のファイザーなど、ハイテクセクター及びヘルスケアセクターの好調が目立った。
経済指標では、6月卸売在庫(9日)、7月生産者物価指数(9日)、7月消費者物価指数(10日)などの発表が予定されている。生産者物価指数や消費者物価指数は今後の利上げペースを占う重要な指標となるインフレ率に影響を与えるため、注目したい。9日には中国の消費者物価指数や生産者物価指数の発表も予定されている。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ