【植木靖男の相場展望】 ─ ここは足場を固めるとき
「ここは足場を固めるとき」
●米中摩擦に我関せずの市場の“なぜ”
東京株式市場は、米国のNASDAQ指数やNYダウ平均が堅調に推移するなか、昔から“株屋に刃物はいらぬ、株価が3日も動かなきゃいい”の格言通り、10日間以上もの長い中段のもみ合いを続けてきた。投資家が忌み嫌うカニの横這いも、週末にはついに下放れの兆しを見せ始めた。
年初来、のどになにかトゲが刺さった感があり2万3000円大台を3回挑戦したが果たせず、押し戻されてきた。では、このトゲの正体はなにか。
いうまでもなく、米国トランプ大統領の仕掛ける米中貿易戦争や米欧日の貿易摩擦が指摘されている。
なかでも米中貿易戦争が主因といえるが、意外にも泥沼化が予想されるなか、株式市場では米国でNASDAQ指数が8連勝するなど我関せずの構えだ。まして、予想外なのは中国上海株だ。なにやら底入れらしき雰囲気を醸し出している。
確かに中国にとっては厳しい状況にあるわけだが、習近平にとっては、“災い転じて福となす”ではないが、なかなか整理が進まない国営企業を米中貿易戦争という外圧を利用してその構造改革を一気に進めようとの魂胆が見え隠れするとの見方がある。
また、トランプ大統領が企てる貿易戦争の一環で中国から米国企業が撤退すれば、中国に残された設備、工場などが容易に手に入るともいう。
“転んでもタダでは起きない”中国のしたたかさが垣間見える。
このようにみると、米中ともに泥沼化せず手打ちとなる可能性もあろう。まずは上海株の今後に注目したい。
●当面は出遅れ株の一本釣り
一方、始まった日米貿易協議(FFR)。FTAと自動車関税を巡って丁々発止となるが、容易には合意に達しないだろう。
では、こうした背景のもと、株価は今後どう展開するとみればよいのか。
週末には、この長い中段のもちあいを下放れたようだ。次は2万2000円での攻防戦が予想されるが、要は3月安値からの上昇基調が崩れたのかどうかだ。米国株の堅調維持や中国上海株の底入れありとすれば、この上昇基調は不変とみてよさそうだ。
ここは足場を固め、買いエネルギーの蓄積を待つところだろう。
さて、当面の物色は主役不在は変わらず出遅れ株の一本釣り局面か。
今回は、好業績で株価も手頃なニッカトー <5367> やPER7倍、利回り4%台の阪和興業 <8078> の悪目買いはどうか。
また、東証2部でIHI <7013> の子会社である明星電気 <6709> [東証2]もじっくり投資には向いている。ここ売買高が急増している。売り上げの35%が宇宙防衛関連、あとは防災関連と時代のニーズに合っている。今期復配予定だ。
2018年8月10日 記
株探ニュース