【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 上放れ待つ東京市場、号砲鳴らすのは中国か?
「上放れ待つ東京市場、号砲鳴らすのは中国か?」
●米国に“限界”へ追い込まれる中国
7月23日以降続いている戻り高値圏でのもちあいはいつまで続くのか。まだ1ヵ月には届かないものの、気分的には2ヵ月ほど続いているような気さえする。
もちあいに耐える。これは非常な忍耐力を必要とする。その結果、上向きになってくれるだけでなく、下向きでも構わないのでともかくどちらかに動いてくれ――こう願ったりしてしまう。
もちろん上向きが望ましいのだが、では、そうなることはあり得るのか。つまり、いわゆる「上放れ」はあるのか。
「ある」というのが私の見方だ。その根拠としては、東京市場の騰勢を阻んでいる米中貿易戦争がいつまでも続くものではないことがあげられる。
確かに簡単には解決しない。この点は株式市場も十分承知している。しかし、米国が推し進める強力な貿易不均衡是正策に対する中国の対応には限界がある。
かつて日本がそうだったように、中国はどこかで譲歩せざるを得ず、間もなくその時がやって来るとみるのが自然だ。
問題が解決するわけではない。しかし、株式市場は中国のわずかな譲歩にも安心し、満足もする。
●収益の安定成長企業に着目
いまはそうなるのを待つ状況であり、外国人投資家はすでにそれを見越して日本株の買い越しを続けているが、国内投資家は投資信託を除き、他は買い手控え中だ。
特にそれが表れているのがジャスダックやマザーズ 市場になる。米国のNASDAQが堅調そのものの動きを続けているのに比べると、日本の新興市場は見る影もない。こういえるほど軟調極まりない動きだ。
特に考えさせられるのは、6月にマザーズに上場したメルカリ <4385> [東証M]の株価急落だ。上場初値の5000円はとっくに割り込み、この原稿を書いている時点(10日)では4200円台だ。
上場前は大変な盛り上がりぶりで、多くの投資家が購入、そして大型株の新規上場ではよくある上場時が最高値、あとは下げるばかりというパターンに陥っている。この点について、改めて思うのだが、どうして多くの投資家が、この種の大型新規上場に飛びつくのか、ほんとうに理解に苦しむ。儲かるのは投資家ではないことをぜひ分かってほしいものだ。
とまあ、猛暑でついオクターブが上がってしまうが、少し頭を冷やして、ここでの注目銘柄を。
まずは、ジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> [東証M]だ。この会社はエレベーターの保守・保全を主業務としている会社。
ということは、依頼先との関係は長期契約になるため経営の安定度が高く、エレベーターは大きく上下動するものの、収益は上がりっぱなしということになる。もちろんエレベーターほどスピードはないが。
次はダブルスタンダード <3925> [東証M]だ。この会社はビッグデータの生成・提供、さらにはその活用サービスに強いことで知られている。
この分野も企業との付き合いは一時的なものではなく、長期化するため、収益が安定的に伸びる可能性が高い。株価は安値から回復中なので現在水準あたりで拾っておきたい。
私は仕事中、テレビを点けっぱなしにしているが、最近よく見かけるのがマルコ <9980> [東証2]のCM。マルコは女性用補正下着でブランド力が高いが、収益の低迷が続いていた。しかし、RIZAPグループ <2928> [札証A]の傘下に入ったことで蘇生に向かいはじめている。株は低位なだけに魅力的だ。
トランプ政権が鉄鋼・アルミの輸入制限を実施していることが、必ずしもマイナスになっていない会社がある。黒崎播磨 <5352> もそんな会社の一つだ。耐火レンガ に強いが、米国で鉄鋼業が蘇生に向かいはじめていることで、耐火レンガ需要が上向いているのだ。米国との関係が良好なインドでも耐火レンガ需要は伸びている。この点も株価支援材料になる。
そして、最後はシステムリサーチ <3771> だ。トヨタ自動車グループ向け情報システム構築と保守・運営に強いので収益が安定的に伸びる。これは改めて書くまでもなく、企業にとって大変な強みなので株価も期待が持てる。
2018年8月10日 記
株探ニュース