【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆習近平、国内強行突破か◆

経済
2018年8月12日 9時50分

〇中国情勢、微妙に変化。強行突破の見方も〇

中国の重要会議とされる北戴河会議の動向が伝えられない。

情報漏出が無いこと自体は、習近平の統制強化が奏功している可能性を示唆する。ただし、15年8月の異変となった天津大爆発は12日だったので、今週末まで気の抜けない情勢が続くと思われる。

日付は明らかでないが、上海空港当局(紅橋、浦東の二つの国際空港を管理・監督する)のボス(伍健栄)が検査当局に拘束されたとの話が流れている。上海では15年11月に摘発を受けた宝山製鉄のボス(当時は上海副市長)以来の大物とされる。

伍健栄は共青団出身で、元上海市副書記。上海閥と共青団双方に打撃を与える意図かも知れない。「腐敗追及」で再び攻勢を掛け始めた可能性があり、それは権力側の習近平の攻勢を意味する。

余談だが、先般、偽ワクチン(仮疫苗)スキャンダルが流れた。

元従業員の告発で、子供4人が死亡、70人以上が要療養状態とされ、中国国内にパニックを巻き起こした。攻撃されたのは長春の長正生物科技。董事長は地元のボス(業界腐敗三悪人の一人とされる)の娘。業界急成長は江沢民時代で、江沢民派と看做されている。

習近平の統制強化、国内強行突破の見方を補強したのが、16年5月以来の上昇率(+2.74%)となった上海総合指数の5日ぶりの急反発。

4日続落中の下落率は約6%で、4割以上を戻したことになる。牽引役は公共支出拡大期待で鉄道建設大手・中国鉄建が10%のストップ高。

人民元相場は6日から市中銀行に義務付ける為替フォワード取引の準備金要件を20%に引き上げたことで一両日、落ち着いた動きとなっている。1ドル=6.8元ソコソコの動きで、7元突破懸念が遠のいた格好。

意外にも人民元に連動して動いていたのがユーロで、7日のNY市場でユーロが上昇、ユーロ/ドルは1.16前後の落ち着いた動きとなった。

中国で習近平統制が強まることは、当面の波乱リスクが遠のくとの見方になり、波乱を睨んだ売り方の買戻し主導と見られる動きでNY株も上昇した。対イラン問題などもあるので、単純には言えないが、目先買戻し圧力が続く公算がある。

ただし、7日、米政府は23日から対中関税第二弾(500億ドル相当分の残り160億ドル分、この後に2000億ドル相当が控える)を発動すると発表した。習近平統制強化は米中摩擦を激化させる公算があり、高関税合戦に伴う混乱度合いに関心が移ることになると考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/8/8号)

《CS》

提供:フィスコ

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