米国株式市場見通し:トルコ情勢や米中交渉を注視
前週は、米国によるトルコからの鉄鋼・アルミニウム関税の導入がトルコリラの急落を招き、新興諸国通貨安へと波及し株式相場にも連鎖した。トルコも報復関税の導入を表明するなど、今週以降もトルコ情勢を注視したい。また、通商問題をめぐる米中両国の次官級協議が22日-23日の日程で再開される見通しで、23日に米国による中国からの輸入品160億ドル相当に対する新たな関税策が実行される直前でもある。両国の交渉結果を注視する展開が続きそうだ。
22日に、7月31日・8月1日開催分のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録が公開されるほか、24日にはパウエルFRB議長によるジャクソンホールでの公演が予定されており、注目が集まりそうだ。前回のFOMCでは政策金利が据え置かれたものの、米経済の拡大を受けて利上げ方針の維持が示唆された。前週発表された小売売上高、鉱工業生産は堅調な内容となり、消費者物価指数もコア指数が10年ぶりの大幅な伸びを記録するなど、9月の利上げはほぼ確実な状況だ。今後の追加利上げ見通しや、貿易摩擦問題が経済に与える影響などについて何らかの示唆を得られるか注目したい。
企業決算では、小売のコールズ(21日)、ディスカウントストアのTJX(21日)やターゲット(22日)、ホームセンターのロウズ(22日)など小売各社の決算に加えて、中国オンライン小売大手のアリババ(23日)、ソフトウェアのスプランクやオートデスク(23日)などの決算発表が予定されている。前週に決算を発表したウォルマートとメーシーズの値動きは対照的で、ウォルマートは年初から下落傾向だったものの、好決算に反応して上昇した。一方、メーシーズは今年に入り株価上昇が続き、決算は堅調だったにもかかわらず大幅安となった。投資家の小売企業に対する懐疑的な見方は払拭されておらず、業績成長が継続するかが焦点となっているようだ。またアリババは、米国との通商問題に加えてトルコ情勢を受けた人民元安を嫌気して株価は軟調推移となっている。先週中国ハイテク大手のテンセントが減益となる決算を発表したことも警戒感を高めており、決算では下振れリスクに注意が必要だ。
経済指標では、7月中古住宅販売件数(22日)、7月新築住宅販売件数(23日)、7月耐久財受注(24日)などの発表が予定されている。住宅関連指標は弱含みの状態が続いており、6月住宅着工件数が9カ月ぶりの低水準に落ち込んだほか、7月分は予想を下振れた。中古住宅販売も3カ月連続の減少となっており、今週の住宅関連指標も軟調な内容が予想される。住宅ローン金利の上昇と価格上昇によって、アフォーダビリティ(住宅購入の余裕度)が低下していることが鮮明となっている。
《FA》
提供:フィスコ