【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆買戻し相場の持続性を問う◆

経済
2018年9月16日 9時40分

〇SQ睨み買戻し展開、持続性を問う〇

本日は3ヵ月に一度のメジャーSQ(先物・オプション清算値)。目安となる6月のメジャーSQ値は22825.20円。昨日は後4円ほどに、一気に戻す展開となった(8月オプションSQ値は22650.70円)。東証空売り比率は39.6%、7月27日以来の40%割れとなった。日経平均上昇幅216.71円のうち、ファーストリテイリングが58.63円、ソフトバンク55.10円、2銘柄で5割強を占め、新高値銘柄数72に対し新安値197と、内容的には歪な印象が残るが、夏相場で続いてきた「売り目線」が転換する可能性がある。

引け後発表の9月第1週の投資主体別売買動向で、海外投資家は現物5279億円、先物5320億円、合計1兆600億円の売り越しで、6月第3~4週の1兆5559億円以来の売り越し規模だった。経験則上、この規模の売り越しは持続性が乏しく、株価指標が底割れした訳でもないので、今週は買い戻しに転換した可能性が考えられる。

キッカケとなった「米中閣僚級協議の意向」は心許ない。久々に名前が登場したムニューシン米財務長官、劉鶴副首相は5月に失敗しており、トランプ大統領は「米国は中国と合意する圧力にさらされていない。会うなら会おうか」と意気軒高。協議が物別れに終わり、米国が2000億ドル規模の第3弾高関税に踏み切る公算がある。その場合、売り方が再び攻勢に賭けるか注目される。同時に、劣勢中国の変化を探ることになると思われる。余談だが、トルコの利上げ(17.75%→24%)による買戻し相場(通貨リラが6%程度、株式が2.4%上昇し新興国不安が遠のいた)も米中貿易戦争懸念緩和と連動していると考えられる。

ロイターの報道によると、オプション建玉から計算した確率は23500円超えが15%、21000円を割る確率は9%。膠着相場が続くとの見立てになっている。ポジションはアッと言う間に変わるので、あまり当てにはならないが、今どきの市場目線と言える。

来週は日銀金融政策決定会合(18-19日)が控えるが、9月は既に5回、ETF購入を行っており、一時期あった政策方向転換憶測は沈静化している。政策変更は無く、災害続きの日本経済にどうコメントするかが注目点。余談だが、IOCの東京五輪調整委員会のコーツ氏が日本の相次ぐ災害への懸念を表明し、追い風になる可能性がある。7-9月期GDPマイナス観測が浮上し、二段階での大規模補正予算編成思惑が出ている。国内防災投資機運が突破口の手掛かりになるか注目される。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/9/14号)

《CS》

提供:フィスコ

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