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2018年9月19日 14時00分
経済

<トップインタビュー> エックスネット 茂谷武彦社長

―「サービス型」のビジネスモデルに強み、SOサービスが成長牽引へ―

東証1部に上場するエックスネット <4762> は、1991年に野村証券、野村総合研究所の出身者3人で創業。2000年には当時のNASDAQ・JAPAN市場第1号銘柄として上場した企業だ。創業以来、自社開発の資産運用 管理アプリケーション「XNET(エックスネット)」のシステム提供と業務サポートを手掛けており、生命保険や損害保険業界向けでは高いシェアを誇る。強固な収益基盤を持ちつつ、近年では新たなサービスを提供することで成長力を強めている同社の茂谷武彦社長に、現在の業況と今後の見通しを聞いた。

●事業内容を分かりやすく教えてください

茂谷 当社は創業以来、資産運用管理専門のシステム提供と業務サポートを行っています。具体的には、株式や債券などの有価証券にかかる売買や利益、残高、リスク管理、B/S、P/Lなどを管理するアプリケーションを提供しています。お客様は生命保険会社や損害保険会社、投信・投資顧問会社、信託銀行などの機関投資家で、今年7月時点で生命保険24社、損害保険12社、投信・投資顧問45社、銀行・信託銀行・信用金庫など46社、証券会社など31社、その他金融・事業会社7社と合わせて160社を超えるお客様にご利用いただいております。

中でも、生命保険・損害保険では、有価証券運用残高ベースでみるとそれぞれ84%と96%のシェアを有しております。投信・投資顧問でいえば野村総合研究所や大和総研が競合相手です。また、地銀の有価証券管理の分野については当社のシェアはまだ小さく、拡大余地があると思っています。

●御社ならではの特徴はどういった点でしょうか?

茂谷 システム提供を月々の定額制で提供する「サービス型」としたビジネスモデルが特徴です。当社が設立した当時、企業のシステムといえば、開発してもらうか、パッケージを購入するか、その二者択一でした。ただ、前者だと自分の考えたものができるというメリットがある一方でコストが高くなってしまいますし、後者だと初期コストは抑えられる一方で変更や追加があった場合、高額になってしまうというデメリットがありました。

そこで、その双方の“良いとこ取り”をしようと考えて作り上げたのが月々の定額制で、仕様変更から機能追加などのお客様の要望に応える「サービス型」です。今でこそ、携帯電話などで月々定額の「○○放題」というサービスは当たり前になっていますが、当社の設立当時、しかもシステムの分野では、月々定額のサービスは非常に珍しいものでした。

お客様である生命保険・損害保険の業界では、システムの構築は主に子会社が行っていましたが、主力の保険商品のシステム構築で忙しく、なかなか資産運用の方には手が回っていませんでした。そこで当社がアプリケーションを提供し、しかも仕様変更や機能追加、制度変更なども月々の定額制の中ですべてやりましょうと言うと非常に喜ばれました。最初から「たくさんお金をもらいましょう」というのではなく、「どうやったら導入してもらえるか、また使い続けてもらえるか」ということを考えて、このビジネスモデルを採用しました。

●当時としては画期的だったのですね

茂谷 はい。それに販売の仕方も「端末1台当たりいくら」の価格設定で、「まずは1台、共有で構わないので導入してください」と置かせてもらいました。そうすると、お客様にとって使い勝手が良いですし、定額でいろいろな仕様変更もやってくれる。すると「これは便利だ」ということで、共有端末が人気となってその端末が混雑し始める。「それじゃあ、1人1台導入しようか」ということで導入が広がりました。

また、営業の提案もまずは業界大手から行いました。同じ業界といっても、処理方法などのノウハウの面では各社で違いがあります。大手から導入を広げることでそのノウハウの蓄積ができましたので、中堅・中小に広げる過程でそれらを活用することができました。

さらに、一度導入していただいたら、お客様の要望にとことん応えるという姿勢も成長につながったのだと思っています。仮に、改良や機能の追加などでコストが発生していたら、「そこまで払えない」と言われた時点で、アプリケーションは陳腐化してしまいます。ずっとアプリケーションを使い続けてもらうためにも、月々の定額制で機能追加などのニーズに対応できるサービス型としています。

●今後の成長戦略を教えてください

茂谷 資産運用管理のアプリケーションで、しかもサービス型を確立すると、「既に生命保険・損害保険向けアプリケーションで高いシェアをとったから、伸びしろは少ないよね」という声を聞くことがあります。確かに、生命保険で84%、損害保険で96%というシェアだけを見ると、そう思われるかもしれませんが、実はまだ拡大余地が大きいと考えています。

具体的には、これまでアプリケーションだけを提供していましたが、業務を提供することでビジネス領域はさらに大きく広がると考えています。アプリケーションを提供する際、これまではお客様の会社に入り導入やその後の機能追加などを行ってきましたが、お客様の方でもどうせ頼むのであれば業務そのものを責任を持ってやってもらいたいというニーズが高まってきました。

そこで、始めたのがアプリケーションや基盤などシステム全体の設計、運用、監視を行うAMO(アプリケーション・マネジメント・アウトソーシング)や、お客様の業務そのものを行うSO(スマート・アウトソーシング)サービスで、今後はアプリケーションの提供と並んでこうした事業を育てようと考えています。

●SOサービスはいわゆるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のようなものでしょうか?

茂谷 そうです。ただ、BPOというと「派遣で単純作業を請け負う」というイメージがあるようで、私達が行っている専門知識と責任を持って業務を行うイメージとはそぐわない。そこで考えたのがスマート・アウトソーシングという言葉です。

もちろん、当社の根幹はアプリケーションの提供で、これをサービス型で提供するというこれまでのやり方を変えるつもりはありません。ただ、アプリケーションだけを提供するのか、あるいは人も出してお客様のお手伝いをするのかという違いです。そのため、「XNET」サービスを導入していないお客様に人を出したり、業務を請け負ったりということは考えていません。

当社のお客様でいうと、投資顧問や投資信託といった業界では以前からSOサービスを利用されていました。そこで、生命保険や損害保険のお客様にもこれを広げようと考えました。昨年は、生命保険・損害保険ではIFRSコンサルなどの分野でAMOを提供するということはありましたが、SOサービスはまだネクストステージだと考えていました。ところが、最近では生命保険・損害保険でSOサービスへのニーズが予想以上に高まっているように思えます。

お客様にとっても、アプリケーションを提供している会社が「業務もやりますよ」と言うことは、結果として安心していただけるのだと思います。将来的にアプリケーションとSOサービスで、「資産運用管理部門は全てお任せください」と言えるようになれば、その時のマーケット規模は計り知れないと考えています。そうした将来像は見えているので、あとはいかに地道に実績を積み上げるかが、今の私たちに求められているのだと思っています。

●足もとの業績についてお聞かせください。18年3月期は減益でしたが、この理由は何でしょうか?

茂谷 18年3月期はアプリケーション、AMO、SOサービスのいずれも順調で、売上高は過去最高の42億400万円(前の期比4.0%増)となりました。一方で、現在、アプリケーションの利便性を向上させるため、次世代化(Web化)を進めており、これに伴う償却費負担が重くなり、営業利益は6億7800万円(同3.8%減)となりました。

では、償却負担による減益がこれからも続くのかというと、そうではありません。今回の償却費はアプリケーションの次世代化開発投資による一時的なもので、再来期がピークとなる予定です。また、償却前営業利益を表すEBITDAでは、営業最高益を記録した04年3月期を既に上回っていて、17年3月期以降、過去最高水準を更新中です。つまり、利益を稼ぎ出す力自体は過去最高営業利益を計上した時よりも確実に上がっているので、償却負担が落ち着けば数字として営業利益に出てくると見込んでいます。

なお、19年3月期は売上高43億円(前期比2.3%増)、営業利益6億5000万円(同4.2%減)を見込んでいて、第1四半期はほぼ計画通りでした。

●中期経営計画はあえて公表しないということを以前、読んだことがあります。では、今後の数値的な目標は?

茂谷 例えば中期3ヵ年計画には「ゆっくり3年間をかけて目標を達成するんだ」というイメージを持たれる人がいるかもしれません。そうではなくて「毎年チャレンジしよう」という思いがあって公表はしていません。

その代わり、理念や経営戦略だとか短期的な業績見通しなどは明らかにしています。また、いつまでにということではなく、売上高50億円の達成、過去最高経常利益(8.86億円)の更新、売上高営業利益率15%以上、有利子負債ゼロの維持ということは目標として掲げています。

●株主還元についてのお考えをお聞かせください

茂谷 配当性向よりは、これまで減配をしてこなかったという実績が当社の姿勢を表しています。配当性向○%というと一見株主還元重視と思われますが、「減益になったら配当を減らす」ということを暗に示しているだけです。それよりも、たとえ業績が厳しい局面でも「これまで減配をしてこなかった」という方が信頼につながると考えています。

●ところで社名の「エックスネット」の「エックス」にはどういった意味があるのですか?

茂谷 エックスネットの「エックス」は「X」ではなく、EXの「X」です。当社の企業理念に「お客様とコラボレーションしながら成長し続けられる『eXcellent Company』を目指す」があります。また、「ex」がつく単語にはexcellent、experience、expertiseなどがあり、「外に向かっていく」という前向きなイメージがあるので、社名に採用しました。さらに「X」には「未完成なもの」という意味があるので、そういうものに対してチャレンジしていくという意味も込めています。

●最後に、社長は最近「四方よし」という言葉を使われているようですが、その意味は?

茂谷 「買い手よし、売り手よし、世間よし」の「三方よし」は、近江商人が大切にしてきた商売に対する考え方を表した言葉です。当社のサービスを使っていただくことでお客様に貢献できるのが「買い手よし」、その結果、当社の売り上げや利益が増えるのが「売り手よし」。それによって年金や投信の運用コストが下がり、その恩恵を日本国民全体が受けることができるのが「世間よし」です。

さらに私は、当社が将来に向けてやるべきことが、こんなにはっきりした時期はないと感じているので、「未来よし」を加えて「四方よし」と言っていて、この実現を目指して、今後も頑張りたいと思います。

●茂谷武彦(もたに・たけひこ)

1962年2月生まれ。鹿児島県出身。84年横浜国立大学経営学部を卒業後、野村証券に入社。85年から大阪株式部・投資調査課に所属し、全国で株式講演会を開催。92年3月に同社を退職し、エックスネットに入社。主に投信・投資顧問業界を担当。2003年6月同社取締役に就任。14年6月同社代表取締役社長に就任、現在に至る。

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