出遅れていた日本株、“1月高値への道” <東条麻衣子の株式注意情報>
3連休明けの日経平均株価はこれまでフシ目とされていた2万3000円を超えたことで連日で大きく上昇。18日の朝方には、第3弾となる米国の対中追加関税について詳細が発表されたが、当面の追加関税幅が10%であったこと(2019年以降は25%に引き上げ)や、関税の対象から「iPhone」など影響の大きさが懸念される製品が除外されたことが不安心理の後退につながったようだ(本稿執筆は9月19日)。
米欧株式市場もこれらを受けて上昇してはいるものの、世界の株式市場において突出して日本株の強さが際立つ。その背景には、日本株の出遅れ感があるのではないか。
■日米株価の比較から見えてくるもの
2月の株安以降、短期の天底のタイミングが似通っている日経平均とNYダウ平均のチャートを比較してみよう。
【 NYダウ 】 足もと9月18日の高値2万6317ドルは、1月26日につけた年初来高値2万6616ドルまで299ドルに迫っている。年初来高値は9月18日高値から約プラス1.13%上方に位置する。
【 日経平均 】 足もと9月18日の高値2万3481円は1月23日の年初来高値2万4129円まで647円。2つの高値の乖離は率にして2.75%である。
仮に、日本株に対して出遅れとみた修正期待の買いが入ってきているとするならば、NYダウと同様に1月高値からマイナス1.13%(2万3856円)近くの水準までは買われる可能性があるのかもしれない。もちろん、米国市場が今後も上昇を続けていくのであれば、追随する形で日本株が買いを集めることもあろう。
■米国経済とトランプ大統領の行動
直近の米国経済、政治動向などについて整理したい。
9月5日に米国の7月貿易収支が発表された。対中貿易赤字は過去最大の368億ドルと前月(335億ドルの赤字)から10%超拡大し、対日赤字も55億ドルと2.9%増えた。これを受けて7日には「貿易戦争の次の標的は日本か」との報道が一部でなされている。
また、13日には米財務省が、社会保障費などの支払い前倒しが響き、8月の財政収支の赤字額は2141億ドルと前年同月の2倍近くに膨らんだと発表。
17日には、トランプ政権が中国の知的財産権侵害に対する制裁関税の第3弾発動を表明した。24日から2000億ドル相当の中国製品を対象に追加関税措置が実施される見通しとなった。
同じく17日、米国家経済会議(NEC)委員長のカドロー氏は米財政赤字の見通しについて「向こう1-2年間は対国内総生産(GDP)比で約4-5%になる」と述べている。足もとの経済は良好とはいえ、歳入を増やさなければならない状況にあることを改めて印象づけた。
19日には、米国で4-6月期経常収支の発表が予定されている(本稿執筆現在)。市場予想の赤字額は1037億ドル程度となっているが(編集部注:発表された赤字額は1014億ドル)、21日には日米通商協議が予定されており、赤字縮小に意欲を示すトランプ大統領からこのタイミングを捉えて再度、日本に対する言及がなされるかもしれない。
現時点では、米国を取り巻く通商交渉は中国を軸に悪化の一途をたどっているようにみえる。米国の財政赤字の拡大なども踏まえると、米政権の強硬姿勢は中間選挙に向けた政治的アピールにとどまらない可能性がある。今後発表される経済指標とともに、トランプ大統領の動向を注視していきたい。
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。相場変調の可能性が出た際、注意すべき情報、懸念材料等を配信。
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