ビーロット Research Memo(1):2018年12月期は下期に大型案件の売却を予定

特集
2018年9月21日 15時01分

■要約

ビーロット<3452>は、代表取締役社長の宮内誠(みやうちまこと)氏を始め不動産業界に長く従事してきたプロ集団が2008年に設立した「不動産投資開発事業」「不動産コンサルティング事業」「不動産マネジメント事業」を中心とする不動産金融コンサルティング会社である。設立当初は、不動産仲介及び賃貸管理が主であったが、不動産再生の分野で取引実績を着実に重ね、資金調達力が強化されるにつれて不動産投資・開発の割合を増やしてきた。関東だけでなく北海道・関西・九州にも進出し全国の案件を扱う。またオフィスやマンションを主としつつも、近年はホテル・コンドミニアムを積極的に手掛け、多様な不動産の開発及び再生に取り組んでいる。2014年12月には早くも上場(東証マザーズ)を果たし、2015年にアセットマネジメント会社とシンガポール現地法人を設立、2016年に関西の不動産会社を連結子会社化して関西圏に本格進出した。2017年には東京のホテル事業会社も連結子会社化、2018年5月にはM&A事業関連及び人材関連の会社を設立し、成長を加速している。設立10年にして2018年2月に東証1部への市場変更を果たし、その信用力と知名度の向上により情報量や顧客数、金融機関との良好な取引関係が拡充している。

1. 2018年12月期第2四半期の業績

2018年12月期第2四半期の連結業績は、売上高で前年同期比5.1%減の4,999百万円、営業利益で同7.4%減の573百万円、経常利益で同19.8%減354百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同27.1%減の221百万円とほぼ前期並みとなった。主力の不動産投資開発事業が堅調に推移。売却件数は10件(前年同期11件)。物件種類別、地域別にバランスよく実績を上げた。当セグメントの利益率は前期から大きな変化はなく堅調だ。不動産コンサルティング事業においては、関東圏を中心に成約が堅調に推移し、全国で16件(同12件)と成約件数を伸ばした。不動産マネジメント事業では、管理運営受託件数が63件(同54件)と増え、セグメント利益の大幅な増加につながった。販売用不動産の残高(仕掛用含む)が18,876百万円(同11,358百万円)まで増加、過去最高を更新したことが主な要因である。期末に近づいて売却するほうが賃料収入をより多く稼げるため、同社の業績は下期偏重であり、2018年12月期もその傾向は変わらない。同社内の上期計画(非公開)をしっかり達成しており、順調に折り返したと言えるだろう。

2. 今後の見通し

2018年12月期通期の連結業績は、売上高で前期比52.7%増の20,000百万円、営業利益で同6.2%増の2,512百万円、経常利益で同3.0%増の2,057百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同13.1%増の1,414百万円と過去最高の売上・利益を期初予想より変更していない。売上高に関しては、下期に大型案件の売却を計画しており、売上高200億円の大台に乗せる予想に変わりはない。今後の売却物件のラインナップとしては、2017年12月期に竣工及び開業したホテル3棟、2018年度上期に竣工及び開業したホテル、オフィスビルなどの5棟が売却の対象となる。同社がこだわるのは利益(特に親会社株主に帰属する当期純利益)の計画必達である。過去3年間の親会社株主に帰属する当期純利益を期初予想と実績で比較すると、いずれの年も大きく予想を実績が上回っており(21%~60%の上振れ)安定感がある。稼働が好調のホテルプロジェクトが多いこともあり、2018年12月期も利益の上振れが期待できる。

3. 成長戦略

同社の再生投資の対象はこれまでオフィスや住居が主体だったが、運営ノウハウにより差が出るオペレーショナルアセットを増やす戦略が進捗している。2018年12月期に入ってから太陽光発電所や物流倉庫、特区民泊施設などの取り扱いを開始し、事業領域が益々多様化している。いずれの案件も様々な面で課題のある施設であるものの、再生の余地がある案件であり、バリューアップ後の売却を目指す。

また、同社は2018年4月にゴルフ場運営会社(株)ティアンドケイの株式を一部取得し子会社化した。代表取締役社長川田太三氏社長が率いるゴルフ場運営、コンサルティング、評価鑑定業務などを行う会社で、ゴルフ場運営に関する深いノウハウやゴルフ場利用者を含めた富裕層ネットワークに強みを持つ。2017年9月期は売上高2,664百万円、営業損失15百万円(子会社5社含む)である。このM&Aにより富裕層顧客の獲得、ゴルフ場オペレーショナルアセットの再生事業へ本格参入の基盤が確立したと言えるだろう。

4. 株主還元策

同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、業績に応じた利益還元を基本とし「将来の事業展開」と「財務体質の強化」を勘案して総合的に決定する。2017年12月期は期初計画を大幅に上回る利益を達成したために大幅増配となり、1株当たりの配当は39円、配当性向11.76%だった。2018年12月期の配当予想は公表されていないが、業績が予想どおりに推移すれば、大幅な増配になることに間違いはない。

■Key Points

・2018年12月期第2四半期の業績は前期並み。物件種類別には多様性が特長、全国4拠点でバランスよく成約

・資産規模が大きく拡大。固定負債(長期借入金等)で流動資産(販売用不動産等)を増やす財務戦略

・2018年12月期は下期に大型案件売却を予定。稼働順調のホテル多く、利益上振れに期待

・物流倉庫や太陽光発電所、ゴルフ場オペレーショナルアセットへの多角化戦略が進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《NB》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.