イグニス Research Memo(3):VRやAI、IoTに着目した新規事業にも挑戦(2)

特集
2018年10月19日 15時03分

■イグニス<3689>の事業概要

2. 新規事業の概要

(1) VR

2016年11月にVR※1領域への進出を目的とした子会社パルス(株)を設立すると、秋元康(あきもとやすし)氏※2、松尾豊(まつおゆたか)氏※3、DaiGo氏などが資本参加し、各分野における第一人者との協業により革新的な価値創造を目指している。

※1 Virtual Realty の略。

※2 作詞家、放送作家、映画監督、漫画原作者。AKB48グループ、乃木坂46、欅坂46などのプロデューサーとして、ほぼすべての楽曲の作詞を行っており、番組の企画構成やドラマの脚本なども手掛ける。

※3 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、Web 工学、ディープラーニング。

同社のVR事業は、日本において実需があり、かつ収益貢献度が高い分野にフォーカスして開発を進めているもようであり、2016年12月には、順天堂大学教授(堀江氏、川戸氏)とのVR技術応用(認知症の防止・進行遅延効果のほか、痛み軽減効果への応用など)に関する共同研究を開始した。

また、2018年2月にはVR空間上でライブを開催できるVirtual Live Platform「INSPIX」※1の開発を加速するとともに、本格的な事業展開に向けた方向性を打ち出した。今までにない新しい音楽体験として、世界中どこからでも瞬時にライブに参加でき、Virtual LiveでしかできないInteractive な体験を創造するプロジェクトとして、有名IP誘致(人気アイドルやアーティスト等)や新規IP制作(独自のVRアイドル等)、海外展開(中国、北米等)などに取り組む方針である。特に、IP制作に必要なすべてのリソースが整ってきたことから、まずは「INSPIX」の活用によるIP創出を目指しており、その第1弾としてVR アイドルグループ「えのぐ」とのプロジェクト※2を進めている。まだ収益貢献の段階にはないが、Virtual Live Platform としてのフェーズをさらに進化※3させるとともに、IPによる多様なマネタイズ(チケット、グッズ、ファンクラブ、音楽、ゲームなど)の早期実現を目指す。また、IP創出についてもVRアイドルに限らない複数のプロジェクト(第5弾まで)が進行中のようだ。

※1 商標登録出願中。

※2 「INSPIX」の活用により、業務提携先である(株)岩本町芸能社(VRタレントのマネージメントを専門とする世界初の芸能事務所)に所属するVRアイドルグループ「えのぐ」の初オリジナル曲をYouTubeにてライブ配信した(2018年5月5日)。2018年8月10日には初の本格ライブも成功しており、今後の事業展開に向けて大きな手応えをつかんだ。

※3 現在は、フェーズ1(既存動画配信サイトへのライブ生配信)とフェーズ2(特定の場所に集まって体験するバーチャルライブ)の段階まで進んでおり、さらにフェーズ3(参加者がどこにいてもバーチャルライブに参加)へと進化させていく方向性である。

(2) ライフハック

2015年11月に持分法適用関連会社としたIoT ベンチャー( 株)ロビットとの連携を軸として、スマートフォンアプリを通じて培ってきた体験設計のノウハウとIoT関連テクノロジーを活用した新たな製品及びサービスを展開している。足元では2016年7月にロビットのブランドで販売を開始したスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」※が好調に推移している。本件による収益モデルは、ロビットに計上されるデバイス売上高のみであり、同社にはその利益の持分割合(営業外損益)が反映されることになる。

※「めざましカーテンmornin’」は取り付け簡単で、スマートフォンと連動させてタイマー設定するだけで、設定した時刻にカーテンが開閉するアイデアIoT 家電(目覚まし装置)。

また、2016年2月に設立した(株)mellow※1が展開する「TLUNCH」(フード関連サービス)も順調に立ち上がってきた。本件は、『場所おこし~なんでもない場所を、おいしい場所に~』というコンセプトのもと、「活用されていない空地」と「フードトラック事業者」※2をマッチングさせ、シェフのこだわりの料理を提供するものである。首都圏を中心に運営スペース数と提携事業者数を拡大させ、現在では日本最大級のモビリティサービス・プラットフォームに成長してきた。同社の収益モデルは、流通総額に一定の料率を掛けた手数料をスペース提供者(ビル・オーナーやイベント運営者など)とシェアするものである。まだ業績寄与は大きくないが、早期に提携事業者及びスペース提供者の双方を囲い込む先行者利益(ネットワーク効果)の実現により、ストック型事業としてのポテンシャルは大きい。

※1 成長に向けた資本政策上の理由により、連結子会社から持分法適用関連会社へと移行する。ただ、同社グループにおける事業としての位置付けに変化はない。

※2 専門店のシェフが移動販売車で出来立ての料理を提供する新しい飲食業態。

さらには、AI及びIoTを活用した新規分野として、AI技術を活用した自動外観検査装置(検査工程の自動化)にも取り組んでいる。これは、工場で長く抱えていた課題として、従業員が目視による不良品検知作業を行っており時間がかかるという点を、AI技術を用いて効率化するというもの。作業の効率化による人手不足の解消のほか、品質・生産性・競争力の向上などといった効果が期待できる。持分法適用関連会社ロビットが豊田市内の自動車部品メーカー2社との業務提携により推進しているが、既に多数の製造業者から高い評価を得ているようだ。収益事業化までには長期目線が必要であるが、こちらもポテンシャルの大きさには期待が持てる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

提供:フィスコ

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