テクマト Research Memo(1):新中期経営計画「GO BEYOND 3.0」を発表

特集
2018年10月19日 15時11分

■要約

テクマトリックス<3762>は、ニチメン(株)(現 双日<2768>)の営業部門の戦略子会社として設立されたニチメンデータシステム(株)が前身で、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開している。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、単なる製品販売にとどまらず、システム構築、保守、運用・監視サービスまで含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供していることが強み。また、アプリケーション・サービス事業では、医療やCRM、インターネットサービス、ソフトウェア品質保証などのソリューションサービスを展開している。特に、クラウド型PACS※(医用画像管理システム)では業界最大手。CRMシステムでも業界トップクラスの導入実績を誇る。

※画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication Systems)の略称で、MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡やPET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。

1. 2018年3月期業績

2018年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.9%増の23,512百万円、営業利益で同15.8%増の1,902百万円と増収増益となり、いずれも過去最高を更新した。情報基盤事業では地方自治体や民間企業における情報セキュリティ対策ニーズの高まりを背景に、セキュリティ関連製品や運用・監視サービスの需要が好調に推移したほか、放送局向けを中心にストレージ製品の販売も好調に推移した。一方、アプリケーション・サービス事業ではインターネットサービス分野やCRM分野で一部不採算案件が発生したものの、医療情報クラウドサービス「NOBORI」やソフトウェア品質保証分野の好調でカバーする格好となった。

2. 2019年3月期業績見通し

2019年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の24,500百万円、営業利益で同15.6%増の2,200百万円と増収増益が続く見通し。情報セキュリティ事業ではAI技術を活用した次世代アンチウイルス製品やEDR製品※1、CASB(キャスビー)※2関連製品の需要拡大が見込まれている。一方、アプリケーション・サービス事業では「NOBORI」やソフトウェア品質保証分野の好調が続くほか、CRM分野でもコンタクトセンター向けCRMシステムのリプレイス需要が見込まれている。人材投資や自社サービス開発費用の増加が見込まれるものの、2018年3月期に発生した不採算案件がなくなることや増収効果でカバーして、営業利益率は前期比0.9ポイント上昇する見込みとなっている。

※1 EDR(Endpoint Detection and Response)製品:従来のエンドポイントセキュリティ製品が「マルウェアに感染しないこと」を主目的とした製品であるのに対し、EDR製品は「不正な挙動の検知及びマルウェアに感染した後の対応を迅速に行うこと」を主目的とした製品となる。マルウェア感染が避けられないことを前提に、感染後のインシデント対応時間を短縮し、被害を最小限に食い止めることを目的としている。

※2 CASB(Cloud Access Security Broker):企業におけるクラウドサービス利用が進むなかで、情報セキュリティ対策の一環として従業員のクラウドサービス利用をコントロールする企業向けサービスの総称。「可視化」「コンプライアンス」「データセキュリティ」「脅威防御」の4つの柱からなり、具体的な機能には、暗号化、監査、DLP、アクセス制御、不正なふるまい検知、ログ収集、解析などがある。

3. 新中期経営計画について

同社は5月22日、2021年3月期を最終年度とする新中期経営計画「GO BEYOND 3.0」を発表した。経営数値目標としては2021年3月期に売上高で280億円(2018年3月期比19.1%増)、営業利益で27億円(同42.0%増)を掲げている。事業戦略としては「クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進」と「セキュリティ&セイフティ(安心と安全)」という前中期経営計画「TMX 3.0」の戦略を堅持しつつ、成長スピードを加速化していくため事業運営体制の多様化(資本提携、業務提携、大学・研究機関との連携、オープンイノベーション等)も戦略の1つとして打ち出した。具体的な取組みも既に始まっている。2018年1月に子会社として設立した(株)NOBORIで、三井物産<8031>から33.34%の出資を受けた。「NOBORI」に保存している大量の医療画像等の検査情報と三井物産グループが持つAI技術を活用することで新サービスを創出し、事業展開を加速化していく。今後も自社サービスの成長につながるアライアンスやM&Aなどに関しては積極的に進めていく方針だ。なお、株主還元については配当性向で20%を基本方針とし、資金需要も勘案しながら収益成長が続けば増配していく意向だ。

■Key Points

・ネットワーク&セキュリティシステムの構築・保守と、医療・CRM分野等の業務特化型ソリューションサービスに強みを持つIT企業

・2019年3月期はアプリケーション・サービス事業がけん引し、増収増益が続く見通し

・2021年3月期に売上高280億円、営業利益27億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

提供:フィスコ

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