為替週間見通し:伸び悩みか、欧州通貨や米国株式の動向を注視する展開

通貨
2018年11月17日 14時49分

【先週の概況】

■英政治不安や米利上げペース鈍化の思惑で円買い強まる

先週のドル・円は弱含み。12日に114円21銭まで買われたが、16日に112円64銭まで下落した。欧州連合(EU)との間で合意された離脱協定案が英国議会で承認される可能性は極めて低いとの見方が広がり、リスク回避の円買いが優勢となった。世界経済の成長鈍化によって米利上げペースは2019年以降減速するとの思惑が広がり、米国金利の先高観は後退したこともドル売り材料となった。

16日のニューヨーク外為市場でドル・円は、113円20銭から112円64銭まで下落した。クラリダ米FRB副議長の発言を受けて米長期金利は低下し、米国金利の先高観が後退したことから、リスク回避的なドル売りが優勢となった。しかしながら、トランプ米大統領が「中国が貿易合意を求めており、中国に追加関税を課す必要がなくなる可能性がある」と述べたことから、リスク回避的なドル売りは一服。米国株式市場でNYダウが続伸したことから、ドルを買い戻す動きが一部で観測され、ドル・円は112円82銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:112円64銭-114円21銭。

【来週の見通し】

■伸び悩みか、欧州通貨や米国株式の動向を注視する展開

今週のドル・円は伸び悩む可能性がある。イタリアの財政規律問題や英国の欧州連合(EU)離脱の行方など、リスク回避取引につながる要因(ユーロやポンドに対するドル買い)は除去されていないことから、ドルは上げ渋る状態が続きそうだ。米経済指標の悪化などの理由で米国株式が大幅安となった場合はドル相場を押し下げる場面も想定される。

イタリア政府が欧州委員会に再提出した2019年予算をめぐり同国と欧州連合(EU)の対立は先鋭化する見通しで、ユーロ相場のすみやかな反転は期待できないとの声が聞かれている。英国では、EU離脱協定草案が閣議了解されたものの、議会承認は困難な状況となっている。メイ英首相は16日までに離脱協定草案を巡り、政権内の離脱推進派リーダーらの支持を取り付けたもようだが、与党・保守党内ではメイ氏の党首交代を図る動きが出ており、政局流動化を警戒したポンド売りは継続する可能性がある。

ユーロ、ポンドはドルに対して弱含む可能性があるが、英国の政治不安やイタリアの財政問題はリスク要因となり、ドル・円の取引ではリスク回避のドル売り・円買いを促す可能性がある。

一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先日行なわれた講演で、米国経済は「非常に強い」との認識で利上げ継続の方針を示している。ただ、経済の先行きについてやや慎重な見解を示しており、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がるとの見方は増えていない。また、クラリダFRB副議長は16日、「米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいている」との見方を示しており、市場関係者の間で米利上げペース減速の思惑が広がっている。ドルは113円を挟んだ水準で推移すると予想されるが、新たなドル買い材料が提供されない場合、113円台で伸び悩む状態が続く可能性がある。

【米・10月住宅着工件数】(20日発表予定)

20日発表の10月住宅着工件数(年率換算)は122.5万戸と、9月の120.1万戸を上回る見通し。住宅関連指標はまちまちだが、比較的高水準で安定的に推移しており、10月分が想定通りなら消費の好調さが確認されそうだ。

【米・10月耐久財受注】(21日発表予定)

21日発表の米10月耐久財受注は前月比-2.1%と、前月の+0.7%を大幅に下回るものの、輸送用機器を除く数字は改善する見通し。製造業の強さが裏付けられれば、7-9月期国内総生産(GDP)改定値の上改定値の上振れに期待が高まろう。

予想レンジ:111円50銭-114円00銭

《FA》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.