明日の株式相場見通し=「質への逃避」の流れで軟調も下値限定的
あす(5日)の東京株式市場は軟調な動きが継続しそうだ。前日まで日経平均株価は7日続伸と無類の強さを発揮したが、経済ファンダメンタルズや政治面のアプローチから大きな変化が見られないなかでの一方通行の上昇だった。きょうの日経平均の大幅安は、その急騰劇のいったんの幕引き、利益確定のタームに入ったことを示唆している。ただし、下値はそれほど深くないとみておきたい。
テクニカル的に反動安に構えるタイミングであることは認識されていたが、これだけ派手な売りの洗礼を浴びるのもCTAによるアルゴリズム売買の影響が反映されたがゆえと思われる。きょうの日中足(5分足)をみると寄り付きから大引けにかけて、まさに“つるべ落とし”の下げで、ほとんど抵抗なく水準を切り下げている。値下がり銘柄数は1960で東証1部全体の93%近い銘柄が下落、売り一色といってよい地合いだったが、狼狽売りが殺到したような感触はない。下げ幅は大きいがインデックス型の無機質な下げで後を引かない可能性もある。
きょうは、後場に入り時間外で米長期債が買われたことが市場の注目を集め、フライトゥクオリティ(質への逃避)が意識され、リスク資産の株式にはネガティブな流れだった。さらに長期金利低下が外国為替市場でドル売り・円買いを誘発、円高が急速に進んだことも主力輸出株を中心に向かい風となった。既にドルは円以外の新興国通貨などに対し弱い動きをみせていたが、これまではリスクオンの象徴としてドル円相場で円が売られていたフシがある。そのセオリーが崩れたとすれば、株式市場も当然下値リスクを警戒することになるが、今の段階では、行き過ぎたリスクオンの調整に過ぎないとみておきたい。
きょうは買い手不在ともいわれたが、実際はそうともいえない。売買代金は2兆7000億円台に膨らんでおり、下値をしたたかに買い下がる動きがあったことをうかがわせる。後場寄りに大口の先物売りが複数回にわたりマーケットを直撃したが、債券買い・株式売りの動きで質への逃避を印象づけ、これに絡めた先物の売り仕掛けが決まったというのが、きょうの相場の実態ではないか。
日程面では、あすは7~9月の豪州GDP、10月のユーロ圏小売売上高、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などが注目される。(中村潤一)
出所:みんなの株式(minkabu PRESS)