話題株ピックアップ【夕刊】(2):武田、ファストリ、アインHD
■武田薬品工業 <4502> 4,240円 +45 円 (+1.1%) 本日終値
武田薬品工業<4502>は高い。株価は朝方安く始まった後プラス圏に切り返し、後場寄りに再び下に大きく振られた後、改めて切り返すハイボラティリティな値運び。マーケットの耳目を集めたアイルランド製薬大手シャイアーの買収問題については、きょう昼過ぎの臨時株主総会で買収を決議、これを受けいったんは財務負担を警戒した売りが先行したが、その後は今後の業容拡大に対する期待感が勝り買い優勢の流れとなった。市場では「買収を決議すること自体は前日の段階で織り込んでいたが、株主の間では買収に充当する4兆円相当の新株発行後の武田株への売り圧力を懸念する声があった。しかし会社側ではADRへの上場などでその思惑を緩和、さらに年間180円配当を死守する方針を示したとされ、これが評価の要因となったようだ」(国内証券アナリスト)という。武田薬は長きにわたり年180円配当を継続、現在の株価から換算した配当利回りは4.3%近くに達している。
■ファーストリテイリング <9983> 57,550円 +570 円 (+1.0%) 本日終値
ファーストリテイリング<9983>は4日ぶりに反発。4日の取引終了後に発表した11月度の国内ユニクロ売上高速報で、既存店(およびEコマース販売)売上高は前年同月比4.3%減と2カ月連続で前年実績を下回ったが、前月の同10.0%減からマイナス幅が縮小したほか、気温の影響や前年好調の反動による影響はほぼ想定内であり、織り込み済みとの見方が強い。11月は気温が比較的高く推移したため、防寒衣料の販売が振るわなかった。なお、客数は同1.7%減、客単価は同2.7%減とともにマイナスだった。
■フューチャー <4722> 1,742円 +15 円 (+0.9%) 本日終値
フューチャー<4722>が反発。4日の取引終了後、子会社フューチャーアーキテクトが、SGホールディングス<9143>傘下の佐川急便およびSGシステムと、佐川急便の配送伝票入力業務における人の入力作業を人工知能(AI)が代替し自動化するための新システムの開発を開始したと発表しており、これを好材料視した買いが入った。新システムの開発は、人工知能(AI)を活用したシステムの開発により、配送伝票の入力作業を自動化し、これまでの延長線上ではない次元でのコスト削減と品質向上を追求するのが狙い。佐川急便は年間に約12億個の荷物を取り扱っており、繁忙期には1日に100万枚もの配送伝票の情報を人の手によりシステムに入力しているが、膨大な負荷とコストを圧縮しながら、高い品質を維持することが目的としている。
■鴻池運輸 <9025> 1,754円 +8 円 (+0.5%) 本日終値
鴻池運輸<9025>がしっかり。4日の取引終了後、ZMP(東京都文京区)と共同で、成田国際空港制限区域内で自動走行車両の実証実験を実施すると発表しており、これが好材料視された。同実験は、国土交通省航空局が今年6月26日から公募した「空港の制限区域内の自動走行に係る実証実験実証実験実施者」に、鴻池運輸とZMPが共同で応募・選定され、成田国際空港(千葉県成田市)の協力のもと準備を重ねてきたもの。実験期間は12月17日から19日の3日間で、KONOIKEグループの日本空港サービスの作業スタッフの空港内移動をZMPが提供する自動運転実験車両で実施し、空港制限区域内という一般道路と周辺状況や走行ルールが異なる環境下で、自動運転技術実装に向けた検証や課題の抽出を行うとしている。
■アインホールディングス <9627> 8,100円 -330 円 (-3.9%) 本日終値
アインホールディングス<9627>が大幅続落。4日の取引終了後に発表した第2四半期累計(5~10月)連結決算が、売上高1317億8100万円(前年同期比0.4%減)、営業利益67億3100万円(同19.6%減)、純利益36億3900万円(同17.6%減)と2割近い営業減益となったことが嫌気された。調剤薬局の新規出店とM&Aを進めたほか、コスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」の首都圏への出店を継続したが、診療報酬改定による薬価・調剤報酬の引き下げの影響が大きく減益を余儀なくされた。19年4月期業績予想は従来見通しを据え置いた。通期業績は売上高2728億7000万円(前期比1.7%増)、営業利益175億円(同10.8%減)、純利益92億6000万円(同12.4%減)を見込んでいる。
■東京エレクトロン <8035> 15,320円 -280 円 (-1.8%) 本日終値
東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>など半導体製造装置メーカーやSUMCO<3436>、信越化学工業<4063>など半導体素材を手掛ける銘柄が軒並み売り込まれる展開となった。前日の米国株市場ではNYダウやナスダック総合指数など主要株価指数が急落しており、特に半導体関連株などの下げがきつくなっている。インテルが4.7%安、エヌビディアは7.6%安に売り込まれ、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も約5%の下落となった。このリスク回避売りの流れが東京市場にも波及した。
■住友ゴム工業 <5110> 1,485円 -24 円 (-1.6%) 本日終値
住友ゴム工業<5110>は続落し年初来安値を更新。SMBC日興証券は4日、同社の目標株価を1850円から1600円に引き下げた。投資評価の「2」は継続した。中国、東南アジアでタイヤ需要が想定に反して減少。予定していた値上げやミックス改善も進まず、さらに工場拡張や販促費などの固定費増もあり、先月上旬に業績の下方修正の発表を余儀なくされた。これを受け、同証券では18年12月期営業利益を従来予想の680億円から会社予想と同水準の600億円(前期比11%減)に見直した。19年12月期も610億円と従来予想(650億円)から下方修正している。当面の主戦場は日本以外の中国、アジア新興国とみられるため、引き続きアジア市場動向が今後のカギとなる、とみている。
■アルパイン <6816> 1,794円 -25 円 (-1.4%) 本日終値
アルパイン<6816>が後場一段安。この日、同社は臨時株主総会を開催しており、アルプス電気<6770>との経営統合は承認されたと報道された。同社株主の香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーは両社の経営統合に反対していたことから、この日の総会の結果が注目を集めていた。正午過ぎに経営統合承認との報道が流れると、後場の取引では思惑売買を手掛けていた筋からの手仕舞いの売りが膨らんだ。両社は来年1月に経営統合を予定している。
■三菱UFJ <8306> 610.9円 -5.4 円 (-0.9%) 本日終値
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などメガバンクが下値を探る展開で軒並み新安値。足もと米長期金利の低下が加速、米景気先行きに対する懸念が高まるなか前日の米10年債利回りは2.91%台まで大きく水準を切り下げているほか、3年債利回りと5年債利回りは逆イールド状態となるなど、質への逃避の流れが顕在化している。これを受けて、前日の米国株市場ではゴールドマン・サックス、JPモルガンなど大手金融株が売られ、全体相場の下げを先導しており、東京市場でも米国事業を展開するメガバンクに強い逆風が意識されている。
株探ニュース