欧米為替見通し:ドル・円は弱含みか、米利上げ継続観測の後退など複合要因が圧迫

通貨
2018年12月10日 17時25分

10日の欧米外為市場では、ドル・円は弱含む展開を予想する。低調な米雇用統計を受け利上げ継続観測が弱まったほか、トランプ政権の人事刷新など複合的な懸念要因により、ドル売り主導となる見通し。ただ、明日の英国議会採決を控え、逃避資金のドルへの流入が下支えする可能性もある。

7日に発表された米国の11月雇用統計は、平均時給が前年比+3.1%と前月から横ばいとなったが、非農業部門雇用者数は前月比+15.5万人と予想以上に増加幅が縮小し、10月も下方修正されるなど低調な内容が目立った。先月から連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長など当局者が先行きの米国経済に関しやや弱気な見解を示しており、今回の雇用統計がそれらを裏づける格好となった。そのため、来年の引き締めペース鈍化は避けられないとの観測が広がり、本日のアジア市場ではドル売り先行の地合いとなった。今晩の10月JOLT(求人労働移動調査)求人件数が弱ければ、ドル・円は節目の112円を割り込む可能性もあろう。

また、前週末にはトランプ政権の要であるケリー大統領首席補佐官の年内退任が報じられ、トランプ大統領が自身への忠誠心の強い人材を起用することへの不安から、ドル売りが進みやすい。さらに、ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)の党首選で、メルケル首相の側近が選出されたことを受けユーロ・ドルが上昇し、ドルを押し下げる見通し。一方、8-9日に発表された中国11月の貿易統計や消費者物価指数から景気減速が意識され、円買いも見込まれる。ただし、明日予定される英下院での欧州連合(EU)離脱合意案の採決に向け、合意なきブレグジットへの警戒からドルに資金が流入すれば、ドル・円の下げはある程度緩和されよう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】

・17:00 欧州司法裁判所が英離脱撤回をめぐる判断公表

・18:30 英・10月貿易収支(予想:-105.00億ポンド、9月:-97.31億ポンド)

・18:30 英・10月鉱工業生産(前月比予想:+0.1%、9月:0.0%)

・24:00 米・10月JOLT求人件数(予想:710万件、9月:700.9万件)

《FA》

提供:フィスコ

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