三井化学 Research Memo(1):各セグメントで成長続く。『2025長期経営計画』に向けた投資も実行

特集
2018年12月21日 15時52分

■要約

三井化学<4183>はエチレンプラントを擁する総合化学メーカー。1997年に三井東圧化学(株)と三井石油化学工業(株)が対等合併し、現在の三井化学株式会社となった。石油化学や基礎化学品の分野で培った高い技術力をベースに様々なファインケミカル製品を開発し、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング及び基盤素材の4セグメントで事業を展開している。

1. 成長3分野で販売数量が伸長したほか基盤素材では価格効果が拡大し増収増益で着地

同社の2019年3月期第2四半期決算は、売上高720,915百万円(前年同期比16.1%増)、営業利益49,740百万円(同3.1%増)と増収増益で着地した。売上高は数量効果と価格効果が相まって増収となった。利益面では数量差と交易条件がともに増益要因となり、大阪工場の火災影響などによる減益要因を吸収した。セグメント別では、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージングの成長3分野において原材料価格上昇の製品価格への転嫁が遅れたが数量増などで補った。一方基盤素材は交易条件による増益効果が68億円と拡大して前年同期比増益を確保し、収益安定性が着実に増大していることを示した。

2. 『2025長期経営計画』の実現に向け、各セグメントが成長投資を着実に実行

同社は『2025長期経営計画』において2026年3月期に売上高2兆円、営業利益2,000億円の達成を目指している。それに向けた各事業セグメントの取り組みは着実に進捗している。モビリティでは潤滑油添加剤「ルーカントR」や「タフマーR」の大型増設を決定した。ヘルスケアでは新製品の「TouchFocusTM」の販売が順調に拡大しているほか、高機能不織布の増設分も営業運転を開始した。フード&パッケージングでは農薬の新規5原体の5番目となる動物薬について独バイエル・アニマル・ヘルス社へのライセンスアウト契約が締結された。基盤素材ではタイのPTA・PET事業の再編が完了した。これらの施策が実体的に動き出す2020年ころには収益水準のベースが一段底上げになってくることが期待される。

3. 営業利益で3期連続過去最高更新を目指す。原油価格下落の影響は限定的とみる

2019年3月期について同社は、売上高1,540,000百万円(前期比15.9%増)、営業利益106,000百万円(同2.4%増)を予想している。達成されれば営業利益は3期連続で過去最高更新となる。基本的には上期と同様の事業環境が続くという想定の中で、販売数量増と原燃料価格上昇による製品価格引き上げを収益拡大のメインシナリオとしている。その後の市況の動きとしては原油価格が急落し、今下期の想定と大きなずれが生じている。この影響として、価格要因の見込み違いによって売上高が計画比未達となる可能性が出てきた。しかし利益面では、上期に取りこぼした価格転嫁の遅れ分がそのまま残ってしまうマイナス面が残る可能性がある一方、原燃料価格の下落はコスト低減に寄与するため、現在の予想から下振れるリスクは限定的と考えられる。

■Key Points

・成長3分野が数量増による増益効果を実現。基盤素材は交易条件改善で増益を実現し、収益安定性の増大を証明

・長期経営計画実現に向けて、各事業部門で成長投資が着実に進捗

・足元の原油価格の下落で売上高には下方圧力が出てきたが利益面の影響は限定的

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《HN》

提供:フィスコ

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