米国株式市場見通し:投資家心理の改善を予想
先週は、インド・パキスタンの地政学リスク、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が示した米中交渉への慎重姿勢、コーエン元大統領弁護士による議会証言、そして米朝首脳会談の合意見送りと、複数のリスク要因が発生した。しかし、米中交渉や米朝首脳会談は市場の楽観的な見方が牽制された形で、一時的な不安材料に過ぎない。核保有国同士の緊張の高まりやトランプ政権の弾劾懸念は長期化した場合、先行き不透明感が増すと考えられるが、当分は様子見の展開が続くと予想され、株式相場への影響は限定的だろう。
一方で、10-12月GDP速報値が堅調な内容となり、2月シカゴ購買部協会景気指数は予想を大きく上振れ、米景気後退への懸念が和らぎつつある。GDPでは企業の設備投資加速が示され、米中貿易摩擦の長期化で悪化していた企業のセンチメントは、必ずしも設備投資減速に繋がっていない。中国や欧州の景気指標は軟調であるため、世界経済の減速は避けられないが、米国では従来のリスク要因後退に加えて、足元のリスク要因は限られており、投資家のリスク選好姿勢が強まりそうだ。
経済指標では、12月建設支出(4日)、12月ISM非製造業景況指数(5日)、12月新築住宅販売件数(5日)、2月ADP雇用統計(6日)、12月貿易収支(6日)、1月住宅着工・建設許可件数(8日)、2月雇用統計(8日)などが予定されている。雇用統計では失業率は3.9%で小幅改善、非農業部門雇用者数は前月比18.5万人増が予想されている。また、FOMC(連邦公開市場員会)での基礎資料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)も6日に発表される予定だ。
企業決算では、クラウドベースの顧客管理ソフトなどのセールス・フォース(4日)、ディスカウントストアのターゲット(5日)やダラーツリー(6日)、百貨店のコールズ(5日)、アパレル小売のアーバンアウトフィッターズ(5日)、食品小売のクローガー(7日)、会員制卸売のコストコ・ホールセール(7日)などが予定されている。ターゲットの8-10月期決算は、年末商戦に向けた投資拡大や値下げによる利益率の低迷などが重しとなったが、同じく電子商取引への巨額投資を続けてきたウォルマートが好決算を発表しており、堅調な決算内容が予想される。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ