電算システム Research Memo(5):2021年度にオーガニックグロースで売上高475億円、営業利益24億円へ

特集
2019年3月4日 15時35分

■中期成長戦略と進捗状況

1. 2019年度ローリング中期経営計画の概要

電算システム<3630>は2020年12月期をゴールとする長期経営計画『PLAN2020』を策定してその実現に取り組んでいる。

長期経営計画『PLAN2020』では、決済ビジネス(収納代行サービス事業、送金サービス事業、新規決済事業)、業務ビジネス(BPO事業、開発・保守・運用事業、医療事業)、クラウドビジネス(クラウドサービス事業)の3分野7事業を展開して成長を実現することを目指している。同時にまた、収益構造という観点から見た場合、収益変動の少ないストック型ビジネスを中心に展開し、売上高に占めるストックビジネスの比率を80%以上に高めることを目指している。計数目標としては、前述の施策によるオーガニックグロースをベースとし、そこにM&Aで収益を上積みすることで、2020年度に売上高500億円を達成することを掲げている。

同社はまた、この長期経営計画を指針としつつ、より具体的な重点施策と向こう3年間の業績計画から成る3ヶ年ローリング中期経営計画を策定している。2019年2月に発表された2019年度ローリング中期経営計画は2019年12月期から2021年12月期の3ヶ年を対象としており、最終年度の2021年12月期において売上高475億円、営業利益24億円、経常利益24.4億円の達成を目指している。2019年12月期と2020年12月期については、売上高の計画は2018年度の中期経営計画の数値が維持されているが、利益については従来計画から引き上げられている。

これは、情報サービスセグメントで好調な事業環境が続く一方、ここ数年投資が先行してきた収納代行サービスセグメントにおいて利益率改善が進捗するというシナリオに基づいている。

この3ヶ年ローリング中期経営計画における重点施策は従来から変化はない。すなわち、1)海外展開、2)フロービジネスからストックビジネスへ(ストックビジネスの強化)、3)積極的なM&A、の3施策だ。以下ではその進捗状況について詳述する。

フィリピンでの収納代行窓口サービスの多店舗展開がいよいよ本格化

2. 海外展開の進捗状況

同社の海外展開は、現状ではフィリピンにおける収納代行窓口サービス事業の展開がその内容となっている。フィリピンで海外展開のノウハウを蓄積し、その後他のアジア諸国等に拡大するという流れだ。

そのフィリピン事業は、同社と現地企業CIS Bayad Center, Inc.(以下、CBCI)との業務提携で展開されている。CBCIはフィリピンの配電最大手MERALCOの100%子会社で電力料金の集金業務を担っている。具体的な事業モデルは日本国内における収納代行窓口サービス『Biz@gent』をフィリピン国内のコンビニに導入し、CBCIの業務効率アップの実現と収納窓口の拡大を行うものだ。

フィリピン事業は2016年3月のCBCIとの業務提携でスタートした。その後、資本業務提携やビジネス協定の締結等を経て、現地コンビニチェーンのMinistopと提携し、2018年2月からマニラ市内の店舗に『Biz@gent』を導入し、収納窓口業務を開始した。

その後、同社は『Biz@gent』導入店舗数の拡大を急いだが、2018年12月期はほとんど進捗しなかった。2019年に入ってようやく店舗数が増えているが、2019年2月末時点で30店舗といった状況だ。進捗の遅れの要因は現地の通信環境の脆弱さや、規制(店舗ごとに国の許認可を取る必要がある)などにある。

CBCIは収納代行窓口サービスの効果に大きな期待を寄せており、2年内にMinistopの全500店舗への導入を目指すとしているが、上記のような事情から再度進捗が遅れることを想定しておくべきだろう。

海外事業の収益は、その事業内容から収納代行サービスセグメントに入ることになるが、2019年12月期の業績予想や、2019年度ローリング中期経営計画の業績計画には海外事業からの収益貢献は織り込まれていない。しかしながら導入店舗数の歩みやサービスの利用率はなどは将来の今後の海外展開の貴重なデータとなるため、注意深く見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《SF》

提供:フィスコ

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