檜和田浩昭氏【平成から令和へ、10連休後の東京市場はどうなる】(3) <相場観特集>

特集
2019年4月22日 20時00分

―かつてない大型連休、相場の描く軌道に変化はみられるか―

週明け22日の東京株式市場は手掛かり材料難のなか方向感の定まらない動きとなり、結局日経平均株価は小幅ながらプラス圏で着地した。今週末から 10連休というかつてない大型連休に突入することもあって、買い手控えムードも漂うが、下値では買いが厚く、結果的に小幅なレンジでの値動きとなっている。連休前と連休後で株式市場は風景が変わるのかどうか。投資家としてもここでの投資スタンスの取り方には迷うところだろう。株式相場と為替の見通しについて、それぞれ先読みに定評のある専門家に話を聞いた。

●「日経平均、5月後半には昨年12月高値を目指す展開も」

檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)

10連休明けは、5月10日の集中日に600社を超える決算発表が予定されるなど、企業業績を吟味しながらの個別銘柄物色が優勢となりそうだ。株式需給面でのシコリも少ないことから全体相場は比較的底堅い推移となりそうだ。今後1ヵ月程度先までの日経平均の想定レンジは、下値で2万2000円台を一時割り込む可能性がある一方で、上値は昨年12月3日につけた取引時間中高値の2万2698円79銭を目指した展開も想定される。

20年3月期の業績見通しについては、米中貿易摩擦などによるマイナス影響を織り込んで、総じて保守的な内容と予想される。ただ、その分期中に業績を上方修正する可能性の見極めや、自社株買いや増配などの株主還元策を評価した投資行動が必要となりそうだ。更に、このところ外国為替市場の円相場の上下の振幅が縮小傾向にあり、安定していることも、投資家に安心感を与えているようだ。

外部要因としては、米中貿易交渉の行方が相場を大きく左右しそうだ。現在は双方がやや歩み寄りの姿勢をみせながらもこう着状態が続いている。6月に大阪で開催される主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)に前後して、何らかの妥協点を見出して合意に漕ぎつける可能性もある。一方、日米物品貿易協定(TAG)交渉については、今月下旬の安倍首相の訪米、トランプ米大統領の5月と6月の来日と、短期間に3回の日米首脳会談が予定されていることから、何らかの方向性が具体化してきそうだ。

今後の投資スタンスで留意したいのは、内需株と外需関連銘柄のバランスを考慮しながらのポートフォリオの構築だ。内需関連では、日本の10連休期間中に中国にも労働節(5月1~4日)の4連休がある点で、化粧品などのインバウンド関連に改めて注目が集まりそうだ。外需関連では、商用化に向けて世界の通信事業者や通信機器メーカーが一斉に前倒し的な取り組みをみせている5G関連の銘柄に引き続き注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)

1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長、マーケット支援部長を経て現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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