為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、安全逃避の円買い抑制も

通貨
2019年5月4日 14時35分

【先週の概況】

■米利下げ観測後退もドルは伸び悩む

先々週・先週のドル・円は伸び悩み。米国経済の相対的な優位性を意識して4月24日の欧米市場で一時112円40銭まで上昇し、年初来高値を更新。4月26日発表の1-3月期国内総生産(GDP)は、市場予想を上回る前期比年率+3.2%の伸びを記録したが、1ドル=112円台では輸出企業などのドル売りが観測されており、ドル上昇は一服。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が政策金利を変更する強い根拠はないとの見解を表明したことから、年内利下げ観測は後退し、ドル・円は111円台を維持した。

3日のニューヨーク市場では、4月の非農業部門雇用者数が予想を上回る増加を記録したことからドル買いが先行したが、4月ISM非製造業景況指数は市場予想を下回ったことや、平均時給の伸びが市場予想を下回ったことから、米長期金利は低下した。米国株式は強い動きを見せたものの、ドル・円は111円07銭まで下落し、111円11銭で3日の取引を終えた。先々週・先週のドル・円の取引レンジは111円05銭から112円40銭となった。ドル・円の取引レンジ:111円05銭-112円40銭。

【今週の見通し】

■ドルは底堅い動きか、安全逃避の円買い抑制も

今週のドル・円は底堅い展開か。東京市場は10連休明けの7日から本格的な取引が再開する。為替相場に大きな波乱はなく、安全逃避的なドル売り・円買いが広がる展開は想定しにくい。市場関係者が注目した米連邦公開市場委員会(FOMC)は、声明がハト派寄りの内容だったものの、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言から、年内利下げ観測は後退した。インフレ加速の兆しはないものの、米国株高を意識して米長期金利が上昇に転じた場合、リスク選好的なドル買いが強まる可能性があろう。

9日発表の米4月生産者物価指数(PPI)と10日発表の米4月消費者物価指数(CPI)については、インフレ率が前回実績を上回ると予想されており、インフレ期待を手掛かりにドル買いが見込まれる。一方、米国企業の主要企業の決算は強弱まちまちだが、全般的には企業業績は特に悪化していない。利下げ観測の後退を受けて米国株式は伸び悩んでいるが、国内のインフラ整備への期待などで株式市場が安定すればドル買いに振れやすい地合いとなりそうだ。

日米貿易協定に関する交渉が本格化するのは7月以降になるとの観測が広がっていることもドル・円相場に対する支援材料となりそうだ。1ドル=112円台では利益確定を狙ったドル売りが増えると予想されているが、年内における米利下げの可能性は低下しており、新たなドル売り材料が提供されない場合、ドル・円は112円台に再浮上する可能性は残されている。

【米・4月生産者物価指数(PPI)】(9日発表予定)

9日発表予定の4月生産者物価指数(PPI)は前年比+2.3%、コア指数は同比+2.5%と、それぞれ3月の前年比+2.2%、コア指数+2.4%を上回る見通し。市場予想と一致し、前月を上回る内容となった場合、利下げ観測は後退し、ドルを押し上げる見通し。

【米・4月消費者物価指数(CPI)】(10日発表予定)

10日発表予定の4月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.1%、同コア指数は同+2.1%と

予想されており、インフレ率は3月実績をやや上回ることが見込まれている。市場予想と

一致した場合、米長期金利はやや上昇する可能性があり、ドル買い材料になるとみられる。

予想レンジ:110円00銭-113円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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