米国株式市場見通し: インフレ指標に注目
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB議長がインフレ圧力の弱まりは一時的との見解を示したことで、利下げ期待が後退し株価が大きく下落した。一方で、シカゴ連銀総裁やセントルイス連銀総裁は、それぞれ米経済が軟調に転じるか、低インフレが継続する場合には利下げが必要との考えを明らかにしており、連銀内部でも利下げの可能性を意識する状況が見られている。今週は経済指標からインフレ動向を占う状況となりそうだ。
決算発表は、食肉メーカーのタイソンフーズ(6日)、損害保険のAIG(6日)、製薬のアラガンやマイラン(7日)、旅行口コミサイトのトリップアドバイザー(7日)、ゲーム大手のエレクトロニック・アーツ(7日)、エンターテイメントのウォルト・ディズニー(8日)、ストリーミング端末のロク(8日)、口コミサイトのイェルプ(9日)、高級ホテルのマリオット・インターナショナル(7日)などの発表が予定されている。ディズニーは、年内の提供開始を予定する動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の追加情報に注目が集まるが、あくまで事業拡大の1つの戦略であることから映画やテーマパークなど伝統的な事業分野がより重要になるだろう。
5月3日時点のファクトセット社の調査によると、S&P500構成銘柄のうち78%が第1四半期決算発表を終了し、76%が利益、60%が売上高のアナリスト予想を上回った。全体では、先週時点で2.3%の減益が予想されていたが、ヘルスケアや公益事業セクターの業績が好調で0.8%の減益見通しへと改善した。
今週の経済指標は、4月生産者物価指数(9日)、3月貿易収支(9日)、3月卸売在庫(9日)、4月消費者物価指数(10日)などの発表が予定されている。今週は、生産者物価指数や消費者物価指数などインフレ関連指標が多く発表されるが、雇用統計で平均時給が予想に届かず、インフレ圧力の後退が意識されたことから注目を集めそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ